- 沼田 順
- Office JUN 代表
- 兵庫県
- ファイナンシャルプランナー
対象:住宅資金・住宅ローン
- 伊藤 誠
- (ファイナンシャルプランナー)
- 伊藤 誠
- (ファイナンシャルプランナー)
私はFPですので、購入か賃貸かという選択肢は人それぞれのライフプランに合わせるのが一番良いと考えています。
例えば、老後に実家に戻る予定がある場合はそれまでの間は賃貸の方がランニングコストが安くなりますので、賃貸で良いのではないかと思います。
しかし、同じ会社で同じように出世して定年退職した場合、その時点で持ち家を持って住宅ローンの返済も完了している方と、持ち家を持たずに賃貸暮らしを続けてこれからも賃料を支払い続けなければならない人がいる場合、心理的な安心感は前者にあるのは確かです。
上記の例は私が実際にお客様からお聞きした事例です。この話はご本人様に了承を得ていますが、念のためフィクション形式でご紹介致します。
仮にAさんとした場合、Aさんは無理のない範囲で新築マンションを購入し退職金を一部住宅ローンの完済に充当したものの、その時点で完全に自分の持ち家になりました。もともと年金を貰える年齢まで頑張って働いてきたため、その後はすぐに国民年金と厚生年金そして企業年金を受給できました。Aさんが今後負担すべき費用は固定資産税とマンションの管理費等になりますが、月額に直すと3万円前後です。
一方のBさんは様々な事情があり、賃貸暮らしを続けてきました。同じように年金も受給できますが、月額の賃料12万円前後をこれから支払い続けなければなりません。退職金はAさんよりも多く残っているのですが、やはり毎月の賃料負担が心理的な圧迫要因になっている感じがしました。
確かに今後、老人ホームなどに転居することになった場合はBさんの方が動きやすい訳ですが、正直な感想としてはAさんの方が今後の生活力に自信を持っていました。Bさんにとってタイミングが悪いのは、現在は低金利で退職金を安全確実に運用できないことも原因ではないかと思います。
このような事例に遭遇した場合、結果的に給与をうまく運用できたかどうかに違いが出ている感じがします。よく、絶対に貯蓄したいなら、給与天引きにするべきという話があります。こうすることで、その人はその範囲内で生活しようとするからです。
Aさんの場合はこの給与天引きに相当するのが住宅ローンの返済であり、その範囲内で生活することにうまく慣れたのではないかと思います。
一方のBさんはどうしても生活費がAさんよりも多かったということです。人間は弱い生き物ですので、使えるお金があるとつい使ってしまうのは、ある意味仕方のないことかも知れません。
この事例は現在の状況をご紹介しているだけですので、購入か賃貸かの選択を迫るものではありません。しかし、生活費を自分の強い意思できちんと管理できるかどうかの能力が住宅選びのキーポイントになっているのは確かなように感じました。
沼田 順(CFP(R)認定者・1級FP技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー)
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このコラムの執筆専門家
- 沼田 順
- (兵庫県 / ファイナンシャルプランナー)
- Office JUN 代表
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