音楽という魔法にかけられた　３

「音楽という魔法」

わたしの音楽をいちばんよく理解しているのは、こどもたちと動物たちだ。

～イゴール・ストラヴィンスキー（ロシア系アメリカ人の作曲家）

こどもたちのための音楽ステージを手がけて３０年近くたちました。

けれど、僕は「子ども向けの音楽」を提供した事は一度も無い。

こどもたちが知ってる曲を並べてプログラムを組んだことは一度も無い。

だから、親御さんに不評であったステージもかなりある。

けれど、先ずは僕が開くためには、自分が十分に高まる必要がある。

だから僕は自分の気持ちがキュンとなるかどうかをバロメーターにして歌ってきた。

こどもたちに届かなかっかって？

いいえ！

こどもたちは、新鮮さに胸躍らせて聴いてくれました。

確信しています。フォルクローレも、ポップスも、ときにはクラシックでさえ。

僕の開いた心の中を、こどもたちは自由に行き来し、僕の魂のかけらをかき集め

もって帰ってくれました。

そんなもんなのです。

動物も同じです。僕の声に呼応して、鳥たちも歌ってくれたし、猫も足元でじゃれついていました。

面白かったのはアンデスのパンフルートのある音程以上のところでは、鳥たちの声がいっそう音楽的になっていったときです。あのあたりの周波数や倍音がしげきになるのかしらん。

このストラヴィンスキーの言葉を、人間の観客からの逃げ口上として捉えるのでなく、

プリミティブ、原始的な喜びを与える素材として音楽をとらえたいと思うのです。

動物やこどもの感性は、その大事な部分をいまだに保ち続けているのです。