東洋医学の成立について - その他の心と体の不調 - 専門家プロファイル

徐 大兼
アキュラ鍼灸院 院長
東京都
鍼灸師

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対象:心と体の不調

茅野 分
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(精神科医(精神保健指定医、精神科専門医))
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閲覧数順 2016年12月02日更新

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東洋医学の成立について

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最近、CMなどでもよく「女性は7の倍数、男性は8の倍数の年齢のときに体調に変わり目が訪れる」という記述を目にします。この記述は、鍼灸の古典でもある紀元前200年頃に編纂されたと言われている「黄帝内経」という書物の「上古天眞論篇」 という部分に記載されています。様々なところで、東洋医学は今、注目を集めています。今回は、この上古天眞論に書かれている内容から養生と鍼灸の成立してきた背景についてお話しします。

 

 「黄帝内経」は、中国の伝説上の皇帝(紀元前2,500年頃と言われている)と岐伯(きはくorぎはく)という医師の対話形式でつづられております。 上古天眞論の冒頭で黄帝は、「上古(大昔)の人は皆百歳まで元気に暮らしていたのに、今頃の人は50歳で衰えてしまうのは時代や天候が違ったせいか、それとも人々が養生の道に反れているせいか?」と岐伯に尋ねます。

 岐伯は、これに答えて「大昔の人は修養の道を知っていて、天地陰陽の法則(自然の摂理)に従って自分の身を修養し、飲食は節制し、立ち振る舞いは適度にして、疲れ過ぎないように心身の調和を保ち健やかであったために百歳の天寿を全う出来たのです。それに比べて、今頃の不養生の人は、酒を水のようにむさぼり飲み、異常な行為を常とし、酔っては性生活を欲しいままにし、精気を使い果たし、常に精神を過度に使用し、心の赴くままに享楽に耽り、風雲流水の自然を楽しまず、世俗の楽の中に快楽を求めているため50歳にして衰えます 。」と答えています。

 

 ここでいう上古(大昔)は紀元前3,000年以上前のこと、今から5,000年以上前の時代を指していると思われますが、まだ黄河文明のような王朝もない時代の頃のこととなるでしょう。ここで岐伯が言っている「今頃の人」とは、王朝文化の皇帝や貴族などの裕福な人々を指していると思われます。

 そう考えると、大きな権力の集中もなく過剰な食料や余暇も、権力争いも発生していない平等に豊かな自然の中で慎ましやかな生活ができていたなら、ひょっとして、皆が100歳まで天寿を全うしていたとしても不思議ではありません。

 

 ところで、岐伯が指摘していたのは、限られた裕福な宮廷の人々であり、当時の一般の市民は権力の集中と相反して、貧困や苦役に苛まれ、別の理由で天寿を全うできていなかったことでしょう。古典鍼灸の技術は、過剰な飲食やストレスのある宮中の限られた人々を相手に、その基礎を成立していたのです。

 実際に「黄帝内経」の中には、糖尿病などの現代病と言われるような疾患に関する記述も見受けられます。王朝の死活問題である子孫繁栄のための、不妊や胎教に関する記載もそこにはあります。今、東洋医学が見直されている背景には、古代の王朝のように、過剰な食料、過剰なストレスに見舞われている現代社会の人々が必要としている「養生」の思想が多く組み込まれていることから来ているのかもしれません。

 

 「黄帝内経」の編纂により、鍼灸の技術は宮廷の中だけでなく、一般に広まるようになりました。その後、時代は流れ今まで出会わなかった地域の人々が交流をしたり、未開の森を切り開いたり、都市化が進む中で、伝染病が猛威を振るうようになりました。中世のペストの流行などがわかりやすい例です。

 その過程で、現代の西洋医学の基礎となる「抗生物質」などの医療が発達しました。また、皮肉にも一般市民を巻き込んだ世界大戦により、多くの外科手術を必要とする患者が現れ、医学はその方面にも発展していきました。戦争による心の傷を抱えた人々に向けた心理学も発展しました。

 医学史を紐解いてみても、医療は裕福な人々から、貧困や戦争に巻き込まれ虐げられた一般市民へ裾野を延ばしていったのです。それに伴い、東洋医学の古典は影を潜めて参りました。

 

 今現在、日本では幸いにして、食料も豊富にあり、戦争もなく、ワクチンの発達により、大きな感染症の蔓延も中世の時代ほどのものはありません。その代わりに、私たちはいわゆる「生活習慣病」に多く悩まされています。古代の人々からみれば、日本人の多くが宮廷の貴族のような環境にあるのです。

このような中で、同じような環境の人々に向けて成立した東洋医学の古典をもう一度見直して、広く一般に築き上げてきた西洋医学と融合していくことが必要なのかもしれません。

 皆様も、東洋医学の古典にある、自然の摂理にのっとった養生の思想を生活に取り入れてみてはいかがでしょうか?

当院のブログにも東洋医学の知恵を紹介した記事がたくさんありますので、是非参考にしてください。

 

 

 

アキュラ鍼灸院 鍼灸師 小林哲也

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