
- 小川 和哉
- Mクリニック 代表
- 北海道
- ファイナンシャルプランナー
対象:生命保険・医療保険
- 岡崎 謙二
- (ファイナンシャルプランナー)
入院や手術をしたときに、民間の保険に入っていたら保険金がもらえます。
でもどんな入院でも、どんな手術でも何でももらえるわけではなく、その入院や手術が「契約当時の約款」で保険金の支払対象となっている必要があります。
一般的には病院からもらう証明書を保険会社に提出することで、該当するかどうか調べてもらうことになるのですが、この手続きの中にちょっとしたソントクが潜んでいます。
保険の手続きで必要なもの
生命保険に医療特約を付けていたり、医療保険に加入している方が入院や手術をした場合、加入している保険会社に連絡をして保険金の請求をすることになります。
保険会社に連絡をすると、状況を確認した上で必要な書類を送ってもらえます。
ほとんどの書類は送られてきたものに署名・押印をするだけでいいのですが、一つだけ自分では書かないものがあります。
それが入院・手術をしたという証明書です。
これは病院で記載をしてもらうもので、患者さんの住所・氏名・生年月日や入院期間・手術名、更に病院の住所や担当医師の氏名など事細かに書かれています。
この書類を提出することで保険会社ではその入院や手術が保険金の支払い要件に該当しているか確認をしています。
普通は一つの保険会社に一通の証明書が必要になりますので、複数の保険会社で加入している場合は保険会社の数だけ証明書を用意しなくてはなりません。
一部条件を満たせばコピーを受け付けてくれることもありますが、原則は原本の提出です。
それならば病院に複数枚証明書を書いてくれるようにお願いをすれば良いのですが、そう簡単にお願いできない事情があります。
それは、この証明書を用意するにはお金がかかるということです。
病院でかかるお金のほとんどは健康保険が適用となるのでかかる費用の一部だけ負担すればよいのですが、証明書には保険が効きません。
保険が効かないということは、たくさんお金がかかるということになります。
病院によっても金額は異なりますが、保険会社指定の証明書を一通書いてもらうのに全国平均で4,841円(※1)かかります。
もらえる保険金が少ない場合、請求をすることでかえって損をしてしまうこともあります。
また、掛け金が安いからといって複数の保険会社で医療保険に加入したりあちこちの生命保険に医療特約をつけていませんか?
そのようなケースだと、証明書代だけで数万円にもなってしまうこともあります。
保険で大事なのは加入することよりももらうことです。
保険に入ることで満足してしまってはいけません。
必要なときにキチンと保険金を受け取れるということが一番大事なのです。
必要書類の節約
保険会社や加入条件によって一枚の証明書をコピーして使いまわすこともできます。
例えばご加入後2年以上経過していて短期間の入院で手術をしていないケースなどはコピーが使える保険会社が複数あります。
また、軽微な手術の場合は記入項目の多い保険会社指定の証明書ではなく、簡素化された病院独自の証明書で代用できることもあります。
保険会社指定の証明書が平均で4,841円(※1)かかってしまうのに対して、病院独自の証明書の場合は全国平均で2,332円(※2)となっています。
同じ証明書でも随分差がありますね。
入院や手術をして保険金の請求をするときには必ずしも保険会社指定の証明書を用意する必要はありません。
保険金請求をする前に保険会社もしくは担当代理店などにどこまでの証明書が必要なのか確認してみてください。
もし保険会社指定の証明書以外でも請求手続きが可能であればちょっとした節約をすることができますよ。
※1,2 産労総合研究所 附属 医療経営情報研究所『医事業務』編集部調査:2009年 医療機関における文書料金実態調査
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