- 辻 良史
- 筑波大学発ベンチャー(株)サイバー・ヨガ研究所 代表取締役
- 東京都
- 博士(体育科学)
本日は、海外のスポーツ選手が取り組んでいるメンタルトレーニングについてのお話です。
本来、メンタルトレーニングは、スポーツ選手のためではなく、
1950年代に宇宙飛行士の自己コントロール法のために開発された技術でした。
その自己コントロールの有用性を知った旧ソビエトがいち早く自国のオリンピックチームに導入し、成果を上げていきました。
当時は今以上に、「オリンピックのメダル数」=「国の威信力」でした。
そんな流れからメンタルトレーニングは、ヨーロッパからアメリカへと渡り進化を遂げていきます。
日本では本格的にオリンピックチームに採用され始めたのは2000年以降です。
日本では、いまだに、「練習時間の長さ」=「本番での強さ」という概念が色濃く残っています。
「練習時間の長さ」は、やり遂げたという達成感は得られますが、
それは「自己コントロール能力」とはほとんど関係がありません。
料理が上手になりたければ、水泳教室ではなく、料理教室に通わなければいけないのと同じように、
「本番での強さ」を手に入れたければ、それ専用の練習が必要になってきます。
現在、アメリカやヨーロッパを中心としたメンタルトレーニングは、
「脳波」や「自律神経」の働きなどをみて科学的に選手に対してアドバイスができるまでに至りました。
もちろん、このような科学的なメンタルトレーニングは、何もアスリートだけの特権ではなく、
アメリカでは、サンタモニカやビバリーヒルズなどにおいて、筋力トレーニングで筋肉を鍛えるのと同じように、
ビジネスマンが「うつの予防」や「パフォーマンス向上」のために取り入れています。
医療機関では、薬で「うつの予防」を試みるケースが大半ですが、
人間には、誰に教わるでもなく、赤ちゃんの頃から自分の力で立ち上がろうとする「自己成長心」が本能的に備わっています。
つまり、人間には本来、自分の問題は自分自身で解決したいという本能があります。
そういった理由から、私は指導とは、人間本来の自己成長心をサポートさせていただくものであり、
それは決して強要されるものではなく、絶対的な安心感のある空間でしか行えないと思っております。
いずれにしましても、日本ではまだまだ浸透率の低いメンタルへの科学的なアプローチですが、
いつの日か、当たり前のように取り組まれる日を夢見ております。
どうぞ今後とも宜しくお願い致します。 サイバー・ヨガ研究所 代表 辻 良史
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