こんにちはリヴァックスの巻口です。
本日は不動産アービトラージについてお話しします。
アービトラージとは裁定取引のことです。市場間の価格差を利用することで、
リスクなしに利益を得られるサヤとり行為のことを指します。
日本史の教科書で習った幕末の金銀比率の話は有名なので皆さんご存知だと
思います。当時日本の金銀交換レートは1対5、対して国際標準は1対15と
大きく乖離していたため、日本に来た外国人は自分たちの銀貨を小判に変え、
労せずして収益をあげることができたという事例がありました。
現代で言えば、巨大スーパースターヘッジファンドLTCMの投資戦略も裁定機会
を利用するものでした。
ところが、LTCMが破たんに終わってしまったことでもわかるように、楽して儲け
られるということは、なかなかできない・つづかないというのが実際のところです。
現在のようにグローバルに取引ができる環境下が整備され、情報が瞬時に流通
する市場においては、もはや裁定機会は存在していないといわれています。
そんななかで、不動産には実は厳然としたアービトラージが存在しているのです。
図は不動産アービトラージを説明しています。
不動産は新築市場、中古市場の横軸と、実需市場と賃貸市場の縦軸で大きく
4つの象限に切り分けることができます。
新築市場と中古市場に厳然とした価格差があるのはすんなりと理解しやすいの
ではないでしょうか。価格自体が高いということではなく、新築プレミアムが乗せ
られているので、たとえば新築から築一年の物件の価格下落率は、築一年から
築二年の物件の価格下落率よりも大幅に大きいことがわかっています。
ここは新築ということに対するプレミアム(付加価値)を支払っているという意味で
異なる市場ととらえることができます。
また、実需市場と賃貸市場の値付けも確実に異なります。実需市場とは自分で
住むための物件探しの市場で、賃貸市場は投資用の市場です。たとえば賃貸
中で売り出しにでているファミリーマンションは投資目的にしか使えませんので
明らかに空室の同条件のファミリーマンションより安い値付けで取引されること
になります。
ここで市場価格差のファクターとなっているものは、実は物件の状態だけです。
ぴかぴかかそうでないか、入居中かそうでないか、その違いだけで価格「水準」
の差が生まれているということになります。
ここに不動産投資の妙味があります。同じ市場たとえば③で購入して③で売却
するのであれば、相場通りのリターンをえることしかできません。③で購入して①
で売却する(つまり、中古をリノベーションして新築を買おうと思う人に売却する)
など違う市場での売却をするからこそリターンを稼ぐことができるということです。
ビジネスとしてそれをやっているのがたとえばスターマイカです。価格がもっとも
低い賃貸中古市場で購入し、中を空室にしてリフォームを施すことにより、①と③
の中間くらいの層に販売することでアービトラージを実現しちているのです。
個人の投資家にとって重要な投資戦略の一つが実はこのアービトラージをいかに
制するかというところにあるということを多くの方は理解していません。
ただ運営するだけの大家さんになるのか、戦略的にリターンをとっていく大家さん
を目指すのか。こうした戦略の有無が左右するのです。
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