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遺言書の応用知識~遺言で残せること、残せないこと-その2

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相続税・贈与税の基礎知識

皆様、こんにちは。

 

前回から引き続きまして、本日も遺言書で残せること、残せないことをお届けしたいと思います。

 

前回では遺言書で残せることが全部で13項目ある、というお話をしました。

このうち特に「遺言執行者の指定」は、遺言書で必ずしっかりとした手当てしたい項目です。

 

遺言執行者とはその名の通り、遺言に書かれている内容を執行する人の事です。被相続人の財産の管理処分行為を被相続人や相続人に代わり実行出来るわけですから、とても強大な権力を持っています。

 

ここで遺言をあえて悪く言いますと、「遺言者が一方的に財産の処分等を指定する文書」なわけですから、現在の日本の民法が想定している均等相続の考え方から外れた文書も残せます。(誰か一人の人に財産を全て遺贈する、等ですね)

 

しかし、日本の民法は均等相続を想定していますので、他方で相続人の権利は保護されています。

 

例えば、とある被相続人が自らの財産を「相続人以外の人に遺贈する」という文書を残していたものの、遺言執行者の指定がなかったとします。

では、その遺言は誰が執行する(具体的には誰がその財産の名義変更をする)のでしょうか?

 

遺言執行者が指定されていれば、遺言執行者が行います。(遺言執行者は就任を拒否する事も出来ます。)

遺言執行者が指定されていなかったとしたらあるいは就任を拒否されてしまったとしたら、このままでは遺言を執行する(財産名義を書き換える人)人がいませんね。

どうしたらよいのでしょうか?

 

ならば遺言執行をしてくれる人を選べばよい、という事になるのですが、これがなかなか難関だと思います。

家庭裁判所に遺言執行者の選任をお願いするわけですが、選任のお願いをする時の必要書類として遺言者の戸籍謄本が必要になります。遺贈者と受遺者の関係にもよると思いますが、相続人以外の人がこの遺言者の戸籍謄本を集められるのかどうかが難関ではなかろうかと思います。

さらに自筆証書遺言の場合、まずは遺言の検認が必要です。

やはり遺贈者と受遺者との関係にもよると思いますが、相続人以外の人が自筆証書遺言を持っている状況にあるという事や、遺言者の出生からの戸籍謄本を収集するとなると先程よりもさらに困難な状況ではないでしょうか?

 

少し話はずれますが、不動産の登記については、遺贈を原因とする所有権移転登記の場合は相続人と遺言執行者(又は他の相続人)との共同申請になります。

財産をもらえない相続人が不動産登記に協力してくれるとは思えませんので、この点も遺言を残す際には相続人に対して事前(相続前)の説明が必要不可欠な点だと思います。

 

いずれにせよ、遺言書を残す際には「あけてびっくり玉手箱」とならないように、事前に相続人に対して十分な説明をし、(法的に意味は無くとも)願わくば同意を取り付けておきたいところですね。

事前にお話しする事が難しい状況にあっても付言事項などで、どうしてそのような財産の処分方法にしたのかは残すようにしましょう。

 

前回にも書きましたが、遺言書は亡くなった方の最後の言葉、「遺した言葉」なのですから。

今回は税理士の専門分野とは少し離れた遺言書についてお届けしました。

私見の内容もありますので、個別案件の処理にあたっては、弁護士や司法書士といった法律の専門家の方等のアドバイスを受けて下さればと思います。

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