耐震改修工事は、必要とは判っていても出来るだけ安くしたいものです。
基本的には、屋根を軽くして、耐震壁を多く入れて、柱が土台から抜け落ちない様に金物で固定するのが主流です。でも、目に見えない地味な工事の割りに費用が掛かってしまうのが耐震壁の工事です。
屋根の葺き替えも費用が掛かりますが、外見が綺麗になりますので費用対効果は充分にあります。
それに引きかえ耐震壁は壁だけの改修に留まらず、天井も破って・床も一部撤去して、土台と柱が綺麗に見える様にしなければ、耐震壁に出来ません。しかも出来上がっても工事前とそれほど変り映えがしませんので、多くの人が二の足を踏んでしまいます。
そんな耐震壁工事に朗報の建材が出ました。ダイケンから出ているダイライト耐震壁「かべ大将」です。http://www.daiken.jp/taishin/kabe.html
この耐震壁は梁まで張り上げる必要がありませんので、天井を壊す必要がなくなります。また、土台に留める必要もありませんので、床を壊す必要もありません。壁のみの改修で壁量倍率を確保出来ます。
壁の改修はそれで良いとして、柱頭・柱脚金物の取り付けの為に天井・床を壊したのでは意味がありません。しかし、これまでは天井・床を壊さなければ、柱頭・柱脚金物は取り付けられませんでした。今回㈱タナカから、リフォーム専用の柱頭・柱脚金物が発売されました。
http://www.tanakanet.jp/contents/product/hasirasetu/has64ct.html
従前の金物に比べ、足が長く、天井を壊さなくても梁まで届く様になっています。梁に固定する時に用いる専用ビットも同時に開発されています。
試算しますと工事費・工期とも1/2で仕上がります。
これが、普及して耐震改修が進めば、地震が来ても少しは安心かと思います。
このコラムの執筆専門家
- 福味 健治
- (大阪府 / 建築家)
- 岡田一級建築士事務所
木造住宅が得意な建築家。
建築基準法だけでは、家の健全性は担保されません。木造住宅は伝統的に勘や経験で建てらていますが、昨今の地震被害は構造計算を無視している事が大きく影響しています。弊社は木造住宅も構造計算を行って設計しています。免震住宅も手掛けています。
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