- 志田 茂
- 志田茂建築設計事務所 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
この家には、人がよく集まります。
お子さんの友達が、ひとりふたりではなく 十数人来た とか・・・・
初めて来た人は、しばらくするとまたすぐに来る とか・・・・
とにかく人が来る家です。
設計はともかく、(施主の人柄によるところが大きいのだけど・・)この家は居心地がとてもいい。だけど、家のデザインとか住人の人柄以前に、この土地の持つ力によるんじゃないかな、という事に気が付きました。(今更。。。)
この家は、北側の道路に接する、、そしてビルに囲まれた、いわゆる、いや、本当の「北向きの家」です。「北向きの家」というとイメージ悪い感じがするけれど、この家の場合にはまったくそれが当てはまらず、むしろ、東南西を囲われている事が、「この家が落ち着く」感じに大きく関わっているのかもしれません。
「南がふさがっていたって絶対に暗い家にしない!」と設計しました。それなりの工夫もあります。(もちろん限界はありますが・・。)そうゆう効果もあるだろうけど、この家に来た人の中に「北向き」という事を感じた人がいるだろうか?そんな事よりこの家の「落ち着く」感に包まれ、ついつい長居をしてしまうのだと思います。太陽の光が入る事は重要だけど、それと 「落ち着く」とか「居心地がいい」というのとは別の事だと思います。
東と南と西の半分を完全にビルにふさがれて、それが逆に囲われた安心感になっているのかもしれません。そして西側の残り半分がお隣の庭でそこに桜の木があり、「抜け」と「緑」の豊さの恩恵にあずかれる事が、この家にうるおいを与えてくれるのかもしれません。(そこに面して窓を作った事が効果的ではあったのは、、、、結果オーライ・・・・)
そゆう土地の力があるからこそ、この家は「心地いい」のかもしれません。
好んで北向きの土地を手に入れる必要はないと思いますが、諸事情によりそれしか選択肢がなかったとしても、悲観する事はないと思います。
もちろん南が開放されて日が ”さんさんと” 入るのとは違うのだから、そうゆうイメージは捨てなければいけないけれど、薄暗い家しかできないわけではありません。明るくも風とおし良くもできます。むしろ、囲われた落ち着いた家を求める人には、、、いいのかもしれません。
写真は、ナンバーフォーの道路側・・・つまり 北面。北側でもこのように日が当たります。朝夕ですが、これから次の冬まで!
このコラムに類似したコラム
ちょっと難あり(斜面)、でも調理次第でキラリと光る土地に家を建てませんか? 小松原 敬 - 建築家(2013/08/09 18:27)
南向きではないけれど明るい家は作れます [西向きの家(土地)] 志田 茂 - 建築家(2013/05/29 15:00)
小さな家を求める人の話 志田 茂 - 建築家(2013/01/09 07:00)
すまいをつくる-4 土地決定 藤本 香 - 建築家(2012/09/10 06:00)
建て主さんインタビュー1「家づくりのきっかけ」 奥山 裕生 - 建築家(2011/08/31 16:35)