- 村田 英幸
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対象:事業再生と承継・M&A
- 村田 英幸
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1 特別清算のメリット
(1) 破産に比べて迅速、会社の信用力が保持できる
特別清算は、破産に比べて、手続が厳格ではなく、簡易、迅速に会社を清算できるというメリットがあります。
また、特別清算も破産と同じ清算型の倒産処理手続でありながら、特別清算には比較的「倒産」のイメージが薄いというメリットがあります。
(2) 清算人
破産の場合は会社の管理処分権限は裁判所の選任する破産管財人に移ってしまうのに対して、特別清算の場合には、会社が選任した清算人が財産の管理処分を行うことができるというメリットもあります。
(3) 担保権の実行手続等の中止命令
破産においては、特定財産上の担保権が別除権として扱われ、原則として手続に拘束されない権利行使が認められているのに対して、特別清算の場合、裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権実行手続の申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、清算人等の申立てによりまたは職権で、相当の期間を定めて、担保権の実行の手続等の中止を命じることができます(会社法516条)。
2 特別清算のデメリット
(1) 解散決議が必要
特別清算手続を実施する前提として株式会社を解散させる必要があるところ、株主総会の特別決議、すなわち、総議決権の過半数の出席および出席した株主の議決権の三分の二以上の賛成が必要になります。
したがって、経営者は株主総会の特別決議を得る見込みがなければ、特別清算に進むことはできません。
(2) 多数の債権者の同意が必要
特別清算手続を実施するためには、債権者に対する弁済計画である協定案に対し、出席議決権者の過半数かつ議決権の総額の三分の二以上の同意が必要になります(会社法567条)。そして、協定案につき、かかる債権者の同意が得られなければ、破産手続に移行することとなります(会社法574条2項1号)。
(3) 否認の制度、債権確定の制度なし
特別清算においては、破産の場合に認められる否認権の制度(破産法160条以下)がないため、清算手続内で詐害行為や偏頗行為が行われた場合、その効力を否定できないデメリットがあります。
また、債権確定の制度(破産法124条以下参照)もないので、債権額に争いがある場合は訴訟によることが必要になり、債権を迅速に確定することができないというデメリットもあります。
3 保証人
特別清算は株式会社しか利用できません(会社法510条)。そのため、保証人個人については、任意整理や民事再生、破産等の手続をとることが通常です。
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