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米国改正特許法逐条解説 (第8回)
~第2回 冒認出願とレビュー手続~
河野特許事務所 2012年 1月25日 執筆者:弁理士 河野 英仁
第327条 調停 (a)概説 -本章に基づき開始されたPGRは、終了要求提出前にUSPTOが手続上のメリットを決定していない場合に限り、申立人と特許権者との共同要求により、申立人に関して終了する。PGRが本章に基づき申立人に関して終了した場合、当該申立人がPGRを開始したことに基づき、米国特許法第325条(e)に基づく禁反言は、申立人に対し、または、利害関係のある実際の当事者もしくは申立人の利害関係人に対し、生じない。PGRにおいて申立人が残っていない場合、USPTOはPGRを終了させるか、または、米国特許法第328条(a)の規定に基づき、最終の書面による決定へと進むことができる。 (b)書面による同意(中略) |
第328条 Boardの決定 (a) 最終の書面による決定-PGRが開示され本章に基づき棄却されなかった場合、PTABは、申し立てにより争われたクレーム及び米国特許法第326(d)条(クレームの補正)により追加された新たなクレームの特許性に関し、最終の書面による決定を発行するものとする。 (b) 証明書-PTABが、(a)に基づき最終の書面による決定を発行し、かつ、控訴期限が過ぎた場合、または控訴できなくなった場合、長官は最終的に特許できないと決定されたクレームをキャンセルする証明書を発行及び刊行し、特許性のあるクレームを確認し、証明書の運用により、特許性有りと決定された新規または補正されたクレームを当該特許に組み込む。 (c) 中用権-本章に基づきPGRにて特許性有りと決定され、特許に組み込まれた提案補正または新規クレームは、(b)の証明書の発行前に、提案補正クレームまたは新規クレームにより特許された物を米国内で使用、製造もしくは購入し、または米国内に輸入する者、或いは、実質的にその準備をしている者の権利に関し、再発行特許について米国特許法第252条に規定されたのと同様の効果を有する。 (d) レビューの期間-USPTOは各PGRに関し、PGRの開始と最終の書面による決定の発行との間の期間データを公衆に利用可能としなければならない。 |
第329条控訴 米国特許法第328条(a)の規定に基づくPTABの最終の書面による決定に不服のある当事者は、米国特許法第141条(CAFCへの控訴)~144条(控訴に関する決定)の規定に従い、決定に対し控訴することができる。PGRに対する当事者は当該控訴に対する当事者となる権利を有する。 |
5.IPR(Inter Partes Review当事者系レビュー)
(1)概要
従来の当事者系再審査における再審査開始条件は、実質的な新たな質疑SNQ(Substantial New Question)が存在するかであった。SNQの要件は相対的に低かったところ、今回の改正によりその要件が引き上げられた。具体的には、申立人が少なくとも一つの争点となっているクレームにおいて優勢(prevail)であるという合理的見込み(reasonable likelihood)があることを示さない限り、IPRは開始されない(314条)。
その他、PGRの規定と整合させる改正がなされた。
(2)主体的要件
特許権者でなく、かつ、利害関係人に限られる(312条(a)(2))。利害関係が要求される点でPGRと共通する。
(3)客体的要件
米国特許法第102条(新規性)または第103条(非自明性)に基づき、かつ、特許または刊行物からなる先行技術のみに基づき、ある特許における1または複数のクレームを特許不可として削除することを請求できる(311条(b))。すなわち、IPRは新規性または非自明性を理由とし、かつ刊行物のみが証拠とされる点で、いかなる理由でも取り消しを請求することができるPGRより狭い。
(4)時期的要件
IPRの申し立ては以下のいずれか遅い方の後に提出しなければならない(311条(c))。
(1)特許の発行または再発行特許の発行の9ヶ月後、または、
(2)PGRが第32章に基づき開始されている場合、当該PGRの終了した日
すなわち、特許発行後はPGRが優先され、PGRの申立期間を経過した後、またはPGR終了後に初めてIPRを申し立てることができる。
(5)IPR開始要件
長官は、申立人が少なくとも一つの争点となっているクレームにおいて優勢(prevail)であるという合理的見込み(reasonable likelihood)があることを示した場合、IPRの開始を決定する。なお、改正前:SNQ(Substantial New Question実質的な新たな質疑)から開始要件が引き上げられたことは上述したとおりである。
(第9回へ続く)
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