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対象:特許・商標・著作権
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中国におけるコンピュータ・ソフトウェア及びビジネス方法関連発明の特許性
〜審決及び判例に基づく特許性の分析〜(第15回)
河野特許事務所 2010年6月17日 河野 英仁、聶 寧楽
6.まとめ
本稿の執筆にあたっては審査指南上の仮想例よりも,実際に審判,裁判で問題となった実例を中心に解説すべく,2005 年以降の審決例及び判決を数十件調査分析した。大多数の案件では審査における拒絶判断が維持されているが,セガ事件の如く,特許性有りと覆された事件が存在するほか,内部審査資料【具体例3】の如く一定条件下で特許性有りと認められる例も存在する。上述した審査指南の記載及び事例を分析することで,中国出願時におけるクレーム,技術的課題及び技術効果の記載をどのように記載すべきかが垣間見えてくる。本稿がCS・BM関連発明を取り扱う実務者の参考となれば幸いである。
(注)
1)平成19(行ケ)10369 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟平成20 年06 月24 日 知的財産高等裁判所,平成20(行ケ)10001 審決取消請求事件 特許権 行政訴訟平成20 年08 月26 日 知的財産高等裁判所等。日本国特許法上の発明に関しては,高石秀樹「特許法29 条1 項柱書の「発明」性について判断し
た裁判例(特許法2 条1 項「自然法則を利用した…」の意義)」社団法人 日本国際知的財産保護協会月報第53 巻第12 号P.15,及び,河野登夫「コンピュータ・ソフトウェア関連発明の成立性-精神活動が含まれる歯科治療システムの発明」パテントVol. 61, No.12 が詳しい。
2)米国特許商標庁発表資料(http://www.uspto.gov/web/offices/com/speeches/20090827_interim_el.htm),詳細な解説はhttp://www.knpt.com/contents/cafc/2009.0910/2009.0910.html を参照されたい。
3)Jurgen Betten, 永岡 重幸(訳)「EPO におけるコンピュータプログラムの保護に関する最新情報」日本国際知的財産保護協会月報第54 巻第4 号,P.24
4)2007 年度知的財産権協会ソフトウェア委員会「中国におけるソフトウェア保護の調査報告」知財管理,Vol.58 No.9,P.1207
5)2009 年10 月1 日に法改正された専利法第2 条第2項は改正前の実施細則第2 条第1 項の規定内容と同一である。
6)専利法第22 条第3 項。なお創造性は日本国特許法第29 条第2 項に規定する所謂進歩性に相当する。
7)第9 章第4 節「ビジネス方法に関する発明特許出願の審査」
8)決定号FS7459 号
9)決定号FS12684 号
10)改正前の実施細則第21 条第2 項は以下のとおり規定している。
「実施細則第21 条第2 項
独立請求項は全体的に発明または実用新案の技術案を反映し,技術課題を解決するのに必要な技術的特徴を記載しなければならない。」
11)決定号FS10341 号
12)(2007)一中行初字第01031 号
13)特願2000-607130 号
14)U.S. Patent No. 6,173,214
15)機械-変換テストはIn re Bilski 事件(In re Bilski,545 F.3d 945 (Fed. Cir. 2008))において米国連邦巡回控訴裁判所大法廷が判示した米国特許法第101条の判断手法である。機械-変換テストでは方法クレームは
(I)クレームされた方法が特別な機械または装置に関係している場合,
または
(II)特別な物(article)を異なる状態(state)または物体(things)へ変換している場合
に特許性があると判断する。
16)米国特許法第101 条の規定は以下のとおり。
「新規かつ有用な方法,機械,製造物若しくは組成物,又はそれについての新規かつ有用な改良を発明又は発見した者は,本法の定める条件及び要件に従って,それについての特許を取得することができる。」
(特許庁HP:http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/shiryou/s_sonota/fips/mokuji.htm)
17)EP1190351
18)欧州特許付与に関する条約第52 条は以下のとおり。
第52 条 特許することができる発明
(1)欧州特許は,産業上利用することができ,新規であり,かつ,進歩性を有するすべての技術分野におけるあらゆる発明に対して付与される。
(2)次のものは,特に,(1)にいう発明とはみなされない。
(a)発見,科学の理論及び数学的方法
(b)美的創造物
(c)精神的な行為,遊戯又は事業活動の遂行に関する計画,法則又は方法,並びにコンピュータ・プログラム
(d)情報の提示
(3)(2)の規定は,欧州特許出願又は欧州特許が同項に規定する対象又は行為それ自体に関係している範囲内においてのみ,当該対象又は行為の特許性を排除する。
(前掲特許庁HP)
19)特願2000-607130 号,不服2006-26831 号
20)2009 年6 月18 日「特許権紛争案件審理の法律適用に関する若干の問題解釈」案最高人民法院。な
お現在パブリックコメントを募集している段階である。
21)司法解釈とは,中国の最高司法機関が法律により付与された職権に基づいて,法律を実施する過程
において具体的にどのように法律を運用するかについて発行した普遍の司法効力のある解釈である。
周道鸾著「中華人民共和国司法解釈全集」,人民法院出版社,1994 年版,P.1
なお,本稿投稿後の2009 年12 月28 日最高人民法院は「特許権紛争案件審理の法律適用に関する
若干の問題解釈」法釈(2009)21 号を公布した。残念ながら間接侵害に関する規定は法釈第21 号には導入されなかった。次回の専利法改正時または新司法解釈公布時での導入を期待したい。
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