土壁の断熱性能 - 住宅設計・構造全般 - 専門家プロファイル

青沼 理
青沼建築工房(有) 一級建築士事務所 取締役
東京都
建築家

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対象:住宅設計・構造

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土壁の断熱性能

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建築メモ

土壁の熱伝導率:0.62~0.69 (W/m・k)
グラスウール10Kの熱伝導率:0.05 (W/m・k)
データを比較すると、断熱性能は10倍以下 という値
世界先進国的には、不十分なレベルだが、現在の日本での断熱基準となる次世代省エネ基準『等級4』で東京(IV地域)での値は、
グラスウール10K、100mm(10cm)
これと同等の断熱効果を土壁でとるとすると
(土壁熱伝導率)0.69÷(グラスウール)0.05×100mm=1380mm
なんと、1.38mもの壁が必要となることに!

断熱性能だけで見ると、残念ながら土壁は断熱材とはいえない。
なのに、なぜ土壁の家は 「夏涼しく、冬暖かい」 といわれるか
それは
土壁は熱容量が大きいから、と言うことになる。
土の熱容量は、グラスウールの約80倍。
熱容量とは、たとえば、就寝前に暖房を切ってから、明け方までどのくらい室温が下がるか、というときに土壁の蓄熱性が大きな効果を発揮して、室温の変化が少なくすむ効果がある。

しかし、いずれも 『しっかり施工して、本来の性能を発揮する』 ということを忘れてはならない。


※ 熱伝導率とは物質内の熱移動のおこりやすさを表す係数。(熱伝導率が低い=熱が伝わりにくい  ⇒ 断熱性能が高い。)

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