- 杉浦 繁
- Atelier繁建築設計事務所 代表
- 愛知県
- 建築家
対象:新築工事・施工
石、わかりますでしょうか?
そこらにころがっている石ころではありません。
建材の石材・・
それも、タイルと同じで床に貼るだけの石なら簡単!
そうではなく、壁に貼る石材です。
石の建材には以前にも少し書きましたが・・
基本的には花崗岩と大理石があります。
花崗岩というのは火成岩の一種で、ようするに昔むかし火山が噴火して溶岩が固まって出来た石です。
これは、石の粒子が非常に小さくて密に詰まっており、非常に耐候性や耐火性に優れ、硬く衝撃に強い。
そして磨くとピカピカの他にはない趣を作ることが出来る石です。
ただ、この石は紋が少なく、色は様々ですが柄はどれも似たような物しかありません。
大理石というのは変成岩の一種で土が何年も何万年もの間圧密されることにより固まって出来た石です。
これは、石の密度が大きく粗いので、石としては柔らかく加工性に優れています。
そして、土が固まる時の層によって様々な色や紋や柄があり非常に意匠性が高い石です。
ただ、この石は目で見てもわかりませんが、細かい孔がたくさんあいていますので、雨風でそこに水や埃が入り込むため汚れに弱く、柔らかいので割れやすく磨いても花崗岩ほどのピカピカにはなりません。
このため、花崗岩は外壁や床やカウンターなどに・・
大理石は内壁や内部の床などに・・
などと使い分けて使うことが多くなります。
これ以外にも、砂岩とかスレートとかいろいろありますが、基本的には全てがこの2つに分類上は分けられます。
御影石などと呼ばれる白い石材は花崗岩の一種で、ビアンコとかトラバーチンなどと呼ばれる真っ白な石は大理石の一種です。
まあ、昨今は上に釉薬やワックスを掛けるからと好きなように使う人もいますが・・
って言うか、知らないんでしょうけど・・
そんな建材の石材というのは・・
大きな大きな何m四方なんていう石の固まりを山から切り出してきて・・
昨今はそのほとんどが外国ですが・・
それを石屋さんの工場でスライスして加工して板にします。
そして・・
そんな石は非常に硬くて重い!
ものなのです。
タイルなんて目じゃないくらいに・・
非常に硬くて重い石を加工するために、石屋さんという商売の人達がいます。
石材という特殊な建材を扱うプロフェッショナルの職人さん達です。
大きな石の固まりを、現場の原寸から石工場である程度の形の板に切ってきて、現場で合わせて切り、磨き、加工し、貼り、あるいは張ります。
良い仕事の石はそれはそれは美しい!
硬い冷たい石が柔らかな暖かいそれでいて強靱な建材に変貌します。
それで、というか・・
なんというか・・
私は、こういった石の持つ美しさが大好きなのです。
が、そういう仕事をしてもらえる石屋さんというのは・・
ほとんど見かけなくなってきました。
大きなビルでもなければ、そういった人にはとてもじゃないけど来てもらえません。
昔は町のどこそこにちょっとした石屋さんの加工工場があったものなのですが・・
昨今は石は小さく薄くカットした300mm角なんておもちゃみたいな石を・・
カタログで選び・・
内装屋さんやタイル屋さんが貼ります。
壁にクロスを貼るのと同じです。
彼らが貼るのは工場で作ってきた・・
工場というのは石屋さんの石加工工場ではなく、でっかな建材工場です。
ただ整形に切って作ってきたタイルのような石です。
元々は石なのですが、タイルとして扱い、カタログに載せています・・
自然の産物である石というのは本来は全部違う物なのでカタログなどには載せられない物です。
石は、こういう柄はないかと探す物であったはずなのに・・
彼らはその石の加工などできません。
サイズを合わせることも磨き直すことも端部を面取ることも出来ない。
ただ、割って貼るだけです。
それが出来るのは石屋さん・・
残念なことです。
【 このコラムはブログ記事をまとめた物です。詳しくはブログ「よもやま建築日記~家づくりの現場から~」をどうぞ。 】
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