１１月の住宅ローン金利と今後の見通し

　まず変動金利ですが、これは据え置きとなりました。１０月２７日に日本銀行で開かれた、金融政策決定会合でもゼロ金利政策が全会一致で決定されるなど、現在は金利を引き上げる環境にはありません。（同日行われた追加の金融緩和は残存期間の短い長期国債を買い入れて、１～２年の金利低下を促し、円高に歯止めを掛けるもので、変動金利に影響する政策金利は0～0.1％で据え置かれたままです）

　日本銀行は、１％程度の物価上昇率が見込めるまでは、ゼロ金利政策を続ける考えですが、直近の展望レポートでは２０１３年度までは少なくとも、上記が０％台で推移しそうで、現在の変動金利の水準は長期化するものと考えられます。

　次に固定金利です。１１月の全期間固定金利は、三井住友銀行では前月比変わらずの2.65％となっています。１０月も欧州の債務問題に対する不安が高まり、世界の株式市場は不安定な値動きに終始しました。一方、安全資産と言われる、長期固定金利の指標となる、日本の１０年物国債の利回りは底堅く、ほぼ１％近辺で推移したことが、今回の長期固定金利の据え置きにつながったものと考えられます。

　今後の見通しですが、変動金利はしばらく据え置きとして、固定金利は日本株の動向に注目する必要がありそうです。

　基本的に日本の株価が上昇すれば、相対的に債券が売られ金利は上昇、株価が下落すれば、金利も低下します。従って日本の株価がどうなるのかが、１２月の長期固定金利の動向を探る目安になります。

　欧州の債務問題は１０月２６日に、ＥＵ首脳同士が大枠では合意しました。銀行の資本増強、欧州安定基金（ＥＦＳＦ）の１兆ユーロへの拡大、ギリシャ債務の民間負担を５０％に拡大するなどです。

　しかし、これはあくまでも大枠の合意であり、負担が増す銀行株などが再度下落することなども考えられますが、今月の世界の株式市場は概ね堅調に推移するものと考えられます。

　そして、日本株の重しになっている円高ですが、これまではリスク回避資産として買われてきましたが、世界の株式市場が上昇すれば、逆の流れとなり、これ以上の一方的な円高は起こりにくいというのが市場の見方です。

　上記を総合的に判断すると、今月の日本株は上値は重いものの上昇する可能性が高く、相対的に１０年物国債の利回りは１％後半で推移するものと考えられ、来月の長期固定金利はやや上昇の可能性が現時点では１番高いものと考えられます。（但し来月が１２月であることから、戦略的に金利を設定してくることも考えられます）

　なお、フラット３５の金利は月初の第２営業日にあたる、１１月２日に発表の予定です。

沼田　順（ＣＦＰ(R)認定者・１級ＦＰ技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー）

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