高気密高断熱の住宅を疑ってみる(その2) - 高気密・高断熱住宅 - 専門家プロファイル

海田 修平
カイダ建築設計事務所 一級建築士事務所 
東京都
建築家

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閲覧数順 2024年04月19日更新

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高気密高断熱の住宅を疑ってみる(その2)

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家づくり

元々、断熱の考え方は北欧の寒い地方で発達したもので、冬の寒さをしのぐために開発された技術です。

冬の寒さが厳しい北海道では有効でしょうが、

温帯(亜熱帯?)の日本で本当に高断熱は必要なのでしょうか


日本には古来から、「家のつくりようは夏を旨とすべし」と吉田兼好の言葉があるように、

日本の家は夏の暑さ対策を第一に考えるべきであったのに、

いつのまにか高断熱がもてはやされるようになっています。


寒い国の断熱の考え方は、室内の熱を外に出さないという考え方です。

暖炉で薪を燃やして空気を暖め、暖めた空気を絶対に逃がしたくないという切実な思いが伝わるような技術です。


一方、北欧の夏は快適なので、熱環境をコントロールする必要はありませんが、

日本では夏の熱環境をもコントロールする必要があるので、

日本の高断熱には外部からの熱を遮断するという考え方が強調されている気がします。


しかし、いかに高断熱の家だからといって、断熱だけで夏の暑さを防ぐことはできません。

室内の熱を逃がさない高断熱の家は、室内に籠った熱を外に逃がさない灼熱の家になるはずだからです。


そこで登場するのがエアコンです。断熱性能を高くして、外部環境環境からの影響を小さくし、

エアコンで作った冷たい空気を外へ逃がさないというのが、日本における高断熱の成立条件なのです。


高気密が成立していない住宅において、高断熱はすでに成立していないのですが、

電気だけに頼ることが問題となった現代において、

エアコンをもう一つの成立条件としていることにも問題があると言わざるを得ません。


現代は、夜に窓を開けて眠れるような平和な世の中ではないので、

どうしても夜には窓を閉めてエアコンをつける必要がありますが、

大量の断熱材と、ガラスを二重にした高気密サッシにより室内に籠った熱を

エアコンで冷すのはあまりにもバカげています。


少なくとも昼間は窓を全開にして、室内の風通しを良くして過ごし、

夜には室内の熱が自然に逃げていくような、設備に頼ることのない熱環境整備は可能だと思います。

高気密高断熱なんて必要ないのです。


高気密高断熱を謳い文句に外部環境と室内環境を遮断し、設備で熱環境をコントロールするのではなく、

外部環境をうまく取り入れることで、自然エネルギーを利用することは可能だと思います。

これからの日本の家作りは、自然と共にあるべきだと思います

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