五感を通して家は心を育む/家族を楽しむための家 7 - 住宅設計・構造設計 - 専門家プロファイル

東島 鋭
一級建築士事務所 東島鋭建築設計工房 
大阪府
建築家

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対象:住宅設計・構造

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五感を通して家は心を育む/家族を楽しむための家 7

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帰宅して玄関の引き戸の鍵を開けようとガチャガチャ音を鳴らしていると、

中から「おとうさん帰ってきた!」と子どもの声が聞こえる。

子どもが外から帰ってくると、

家にいるだろう私に向かって「おとうさん!?」と呼びかける。

居らぬふりして黙っていると「おとうさんおらんやん…」。

母親がトイレにいると「おかあさんどこいったん?」

と、我が家では日々このような具合です。

もちろん、トイレにいる時間を子どもに邪魔されることを願って

家のプランニングをしたわけではありません。

子どもたちはただ単に家族がそばにいることに慣れ

その緊密な距離感を当たり前に感じ

家族のメンバーの存在が絶えず意識の中にあることにすぎません。

 

家の2つの役割

実生活空間:食べる、寝る、排泄、仕事、勉強

心の空間:くつろぐ、楽しむ、悩む、癒される

これらが相互に働く時、家は家族を楽しむ場となってくれます。 

 

感性が豊かで上手く感情を表現することができ

自分を肯定的に見ることができる時、

心が健康だといえます。

感情の変化が抑圧されることなく、

また自由に表現できる場が心の空間であり、

家が持つべき大切な役割の1つです。

ですから、機能性や快適性を満足させるだけでは十分ではありません。

家を公園のように子供が喜ぶようにすればよいというわけでもありません。

精神的空間としての楽しむ場であると同時に悩む場でもある必要があります。

 

家とは

家は人が住まうところ。

まだまだ箱にすぎない家が多いことに気づいてください。

もっと家について必死になってください。

カッコよさや利便さも大事にしてください。

でも、もっともっと大切にすべきものが傍にあります。

住まうことは生きることそのもの。

心身ともに健康であり続ける家。

家族を楽しむための家。

家はまだまだ可能性を秘めています。

家族の数だけ家も多種多様であるほうが自然です。

 

「家」について考えることは、

住む場所について考えることにとどまらず、

家族で生きることを考えることです。

心にとって優しい家を考える時がきているのではないでしょうか。

 

(つづく)

 

 

 

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