米国特許:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(8)(5回) - 特許・商標・著作権全般 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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米国特許:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(8)(5回)

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米国特許判例紹介:KSR最高裁判決後自明性の判断は変わったか?(8)(第5回)

~先行技術要素の組み合わせと後知恵~

米国特許判例紹介 

In re Richard F. Schwemberger

河野特許事務所 2011年2月25日 執筆者:弁理士 河野 英仁

 

(ii)第2先行技術

 第2先行技術は、手術締結具及び切断器具を開示している。参考図4は、第2先行技術の締結具カートリッジの平面図及び側面図である。

 

参考図4 第2先行技術の締結具カートリッジの平面図及び側面図

 

 参考図4に示すように、第2先行技術のカートリッジの締結線92は、ピン61を超えて伸びている。審査官は、1先行技術の締結線を、「組織の完全なる閉鎖を確保する目的で」第2先行技術の設計に準じて変更することは自明であると判断した。

 審判部は審査官の自明とする判断を支持した。原告はこれを不服としてCAFCへ控訴した。

 

3.CAFCでの争点

 組み合わせのための動機付けがなく、後知恵といえるか?

 本件発明は、参考図1に示したように、

「締結線の頂部(128)が頂部組織保持部(128)よりも上方である」または、

「締結線(128)の底部が前記下部組織保持部(124)の下方である」ことを特徴としている。

 第1先行技術には、これらの特徴は記載されていない。一方、第2先行技術には、参考図4に示したとおり、前者の特徴、すなわち締結線の頂部が頂部組織保持部よりも上方である点を開示している。ただし、第1先行技術及び第2先行技術ともに、本発明の課題である出血及び流体漏れを防止する点に関しては開示していない。

 以上の2つの先行技術を組み合わせて自明といえるか、さらには動機付けが必要といえるか否かが問題となった。 

                                                                                                      (第6回へ続く)

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