現代都市における最適な診療環境とは - 心療内科治療 - 専門家プロファイル

銀座泰明クリニック 院長
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閲覧数順 2024年12月04日更新

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現代都市における最適な診療環境とは

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精神科クリニックの空間デザイン

―現代都市における最適な診療環境―

茅野分1) 藤井千代2) 村上雅昭3) 水野雅文4) 

1) 銀座泰明クリニック精神科

2) 埼玉県立大学保健医療福祉学部

3) 明治学院大学社会学部社会福祉学科

4) 東邦大学医学部精神医学講座

 

はじめに

現代都市、特に東京の発展は著しい。21世紀を迎えても人口は増加の一途で、1300万人を超そうとしている。ニューヨークやロンドンをはるかに引き離し、世界一の巨大都市となった。東京駅から東京湾にかけて高層ビルが立ち並び、多くの人が働いている。都内はもとより関東地方を通勤圏とし、東京都市圏の昼間人口は3500万人を超える。

しかし、都市環境は精神疾患の発症・増悪に影響を及ぼす(1)。人間の遺伝子と相互作用を生じ、統合失調症の一因になるとも言われている(2)。都市からは緑が失われ、無数のビルが立ち並ぶ。ビルには深夜まで電気がつき、コンピューター作業が続く。仕事は業績で厳しく評価され、不良が続くとリストラされることもある。雇用は派遣が増加し、職員が頻繁に入れ替る。外国人労働者の割合も増えている。昨今の経済不況から更に著しい。そして格差社会を生じる。

このような環境から人々は眠れなくなり、出勤できなくなる。症状は軽症でも職務に支障を来たし、中等症になると休職を余儀なくされる。現代都市には昔や田舎のような寛容さがない。些細なミスで過大な責任を追及される。都市がストレス脆弱性を高め、レジリアンスを妨げていると言っても過言ではない。このような現代都市において最適な診療環境を提供するためにはどのようなことに留意すべきであろうか。

現代都市の精神科臨床サービスの一つ「統合型地域精神科治療プログラムOptimal Treatment Project, OTP (3)は、地域で展開する精神医療・保健福祉サービスの必要条件として「4つのA」を提唱している。1. Accessibility(利便性)、2. Acceptability(受容性)、3. Accountability(説明責任性)4. Adaptability(適応性)。すなわち、精神に変調を生じたらスティグマを感じることなく、すぐ受診できる。診療はエビデンスに基づき、各スタッフが病態の変化へ柔軟に対応できるということである。本稿はこのうち利便性と受容性の観点から最適な診療環境について考察したい。

 

最適な診療環境とは

最適な診療環境とはどのようなものだろうか。それはそこにいるだけで心が安らぎ、不安や抑鬱が軽減するような環境であろう。街の雑踏や喧騒から離れ、静かにゆっくりと過せる空間である。寂しい時や辛い時にはそっと寄り添ってくれる人がいて、こころ安らぐ場所である。精神療法はこれを「抱え環境」と呼ぶ。子供が母親に抱かれているような、無条件の安心・信頼を覚えることのできる環境である。個人の五感へ働きかけ、自然治癒力を高める空間である。海外では"Optimal healing environment, OHE"(4)をはじめ、多くのエビデンスが報告されている。それでは具体的にどのような要素があるのだろうか?

(1) 日本社会精神医学会編:社会精神医学.医学書院,東京,2009.

(2) Lydia Krabbendam and Jim van Os: Schizophrenia and urbanicity: A major environmental influence - Conditional on genetic risk. Schizophrenia Bulletin, 31; 795-799, 2005.

(3) 水野雅文、村上雅昭、佐久間啓編:精神科地域ケアの新展開―OTPの理論と実際―.星和書店,東京,2004.

(4) Marc Schweitzer, Laura Gilpin, Susan Frampton: Healing Spaces: Elements of environmental design that make an impact on health. J Altern Complement Med., 10 Suppl 1; S71-83, 2004.

続きは 精神科臨床サービス 第10巻02号 をご覧いただけるようお願い致します。そして、銀座泰明クリニックではこのような考えのもと、東京・銀座において、より最適な診療環境をご提供できるよう関係各社と協同の上、調査開発を進めております。今後とも宜しくお願い致します。

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