- 服部 真和
- 服部行政法務事務所 ギター弾き行政書士
- 京都府
- 行政書士
対象:企業法務
- 村田 英幸
- (弁護士)
- 尾上 雅典
- (行政書士)
前回のコラム「IT契約書の基本」にて、「強行規定」と「任意規定」について書きましたが、これらついてもう少し詳細を解説します。
「IT企業が契約を交わさない場合」でも触れたように通常、当事者間に契約が交わされていれば、法律的な判断基準として契約の内容は優先されます。
しかし、このような場合でもまったく法的な拘束が及ばない訳ではありません。もし、すべてが契約書通りとなってしまえば、契約当事者それぞれの立場や知識の有無によって、優位者が一方的な条件を押し付けることになり、他方に不利益が生じかねないからです。
そこで、民法をはじめ商法や著作権法などの各法律には強行規定というものが定められております。
強行規定とは契約によって定めた条項が、強行規定と反する場合は、その契約条項を無効にしてしまうというものです。無効になれば当然、その条項によって予定された契約内容は成立しません。よく間違われますが、契約全体が成立しなくなるのではなく、あくまで強行規定に反する条項だけが無効になるので、覚えておいてください。
強行規定以外でも、法律には契約に関わる規定が設けられていることも多いのですが、これに反するルールを契約によって定めた場合は、契約内容が優先し、法律の規定は意味を持ちません。これらはあくまで契約によってルールが定められなかった場合の「予備的なもの」あるいは「契約内容を定めるための参考」と考えておけば良いでしょう。
強行規定として重要なものはまず、公の秩序や善良な風俗に反するもの、あるいは経済的・社会的弱者の利益を守るためのものと考えられますが、他にも著作権や特許権といった知的な権利の発生、帰属に関するものなどもあります。
具体的な規定は非常に広範囲な法律に精通する必要があり、どの法律に規定された強行規定が、実際の契約内容にどのように関係するかを見極めることは非常に困難ですので、自社で契約書を作成する際は充分に気をつけて頂き、不安な場合は弁理士、あるいは知的財産関係やIT関係を専門とする弁護士や行政書士に必ずチェックしてもらうようにしてください。
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