特許権存続期間の調整規定の解釈(第6回) - 特許 - 専門家プロファイル

河野 英仁
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特許権存続期間の調整規定の解釈(第6回)

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   米国特許判例紹介:特許権存続期間の調整規定の解釈
   〜延長期間の計算方法について明確な基準が判示される〜(第6回) 
   
河野特許事務所 2010年5月27日 執筆者:弁理士  河野 英仁

                Wyeth and Elan Pharma International Limited,
              Plaintiffs- Appellees,
                 v.
               David J. Kappos,
               Defendant- Appellant.

 5.結論
 CAFCは、A遅延またはB遅延のいずれか長い方を採用するUSPTOの主張を退け、原告の計算方法が正しいとした地裁の判決を維持した。


6.コメント
 米国特許法の条文解釈に係る重要判例であるため紹介させていただいた。USPTOは本判決を受けて速やかに存続期間計算用のプログラムを修正すると発表した。USPTOによれば、2010年3月2日頃までにはプログラムの修正が完了するとのことである。

 USPTOは特許の発行が2010年3月2日以前であり、かつ、特許発行後180日以内に請求を行った特許権者からの再計算請求を無料で処理すると発表している*3。なお、この再計算請求は、本事件と同様の誤計算があったものに限られる。
 従って、2010年3月2日までに発行された特許であり、発行後180日以内である特許であり、かつ、Wyeth事件と同様の計算ミスがある特許(少なくとも米国特許出願日から3年経過後に発行されている特許)である場合、特許の重要性に応じて早めに再計算請求を行うことが好ましい。特許発行後6ヶ月以内に、当該特許が20年以上も存続期間が必要か否かの判断は難しいが、特許の重要度・事業の将来性に応じて適切な対策を施すべきであろう。

判決 2010年1月7日

以上




                                   (第7回へ続く)

 
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