本年もよろしくお願いします。
松本に来てからのこの1年ちょっとで、建築から離れた本をうんとたくさん読みました。
ネットでの調べものも興味のおもむくままに色々してました。
集めた材料をいっぱいアタマに入れて、うんと考え、議論をし、また考えるの日々。
「この先の生き方を知りたい」そのために「本当のことが知りたい」
建築の専門家としては、かねてより心配事はお伝えしてきました。大地震をきっかけとした都市部・密集地での大災害、新建材がシックハウスを引き起こしたの同様に様々な化学物質と電磁波がアレルギーの類いと大いに関係しているだろうこと、ここ最近は『エコ』という考え方がそれぞれ自分の都合のいいように使われていることに違和感をもっていること。
個人的には、家族とともに健全な暮らしを送れさえすればいいという、ささやかな望みしかいつも持っていないつもりです。ただそのためには『健康』は大切ですね。近代文明の中で生活習慣と食事を良い状態に保つのはなかなか大変ですし、「間違った常識」とも戦うことになりけっこう面倒です。
そして世の中では、経済の動きが世界的におかしいと言われるようになり、誰もがその波と無縁ではいられないグローバリゼーション。いっそ江戸時代のように鎖国でもすれば穏やかになるかなと夢想してみても、食料自給、エネルギー自給の恐るべき低さには背筋がゾッと寒くなります。「田舎で自給自足」にしたって税金は取られる世の中。日本国の借金は1世帯あたりの負担額にして1500万円以上。しかもいまも膨らみ続けている。コレじゃ未来が大丈夫とは思いがたい。
これまでは自分の専門分野を通して感じてきた危機感から、震災を見据えた建物、安全な土地選び、人体に害の少ない素材、経済的な工法、元気の充電できる空間といったことを研鑽・開発し安全を提供できるよう努めてきました。ところが、多方面に渡って情報収集していくと、それぞれ分野においても「この現状は早急に改善すべきで、このままではかなりヤバい」といいます。今日も私たちの前を通過していったなにげない暮らしは実はかなり微妙なバランスの上に存在していて、いますぐにでもそれを崩しかねない小さな引き金が無数にある。この近代文明の社会はというのは、ずいぶん危なっかしい世界のようだと再認識しました。
では、これから私たちは?
押し寄せる時代の大波に飲まれることなく、ささやかな幸せを守り通すにはどう立ち回ったらいいのでしょう。
大地震、恐慌、気候変動、食料危機、近代文明がつくった弊害と大いなるしっぺ返しなど、目をそむけたい話しですがこれらをうまく切り抜けて、健康でいきいきと、寿命あるかぎり元気で、文明社会ともそこそこ付き合いながら、「ああオモシロかった」と言って天寿を全うするジイさんになりたいものです。
建築の専門家としては何ができるのだろうかと、もちろん考えます。
まだだいぶモヤモヤした状態ですが課題は少しだけ見えてきました。いずれ必要とされるのは『超ローコストでローテクな住居』だと思います。突き詰めると、通販で買ってプラモデルのように自分で組み立てる500万円以下の住居、といった感じかもしれません。(こりゃぁ開発し甲斐がありそうです・・・。)
とはいえ、その実現にはまだ月日を要しそうですので、今年はwebの更新をもう少しマメにして、自分が得てきた知識のなかから、誰にとっても役に立ちそうなこと、お薦めしたい本などを、積極的に紹介していく予定でいます。
この新年のご挨拶は、正月から何度も書きかけては挫折を繰り返しました。ヘヴィーな現実の話題は、言葉を選びますね。でも事務所の名からして『サバイバル デザイン』ですから、僕の興味は常にそこにあり、これからもずっと「よりよく生きるために」と根源的な問いを続けていくと思います。 もしよかったら、感想や意見などメールをいただけると嬉しいです。今年もよき出会いが公私ともにあることを願っています。誰しも「一般のひと」は一方で「ある分野の専門家」で、世の中や生き方に対し独自の見解を持っているのではないでしょうか、僕もそのひとりです。いろんなかたと意見を交わしてみたいといつも思っています。
さて今年は、4月下旬ごろにオープンハウスが千葉でやれそうです。みなさんに体験していただき、感想をお聞かせいただけることを楽しみにしています。(できれば事前のご予約を↓HPよりいただけると安心です)
では、本年も前に進んでいきます。よろしくお願いいたします。
須永 豪 sd@sunaga.org
原典:http://www.sunaga.org/daily/daily.htm#100101
このコラムの執筆専門家
- 須永 豪
- (長野県 / 建築家)
- 須永豪・サバイバルデザイン
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