時代遅れになった不動産仲介手数料 vol.2 - 不動産売買全般 - 専門家プロファイル

中石 輝
株式会社リード 代表取締役
神奈川県
不動産業
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時代遅れになった不動産仲介手数料 vol.2

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不動産業界の進む方向性

7月27日に民主党から発表されたマニフェストにまでは採用されませんでしたが、民主党政策集INDEXのなかに、住宅政策においてこのような政策が発表されました。(以下は「民主党政策集INDEX」を一部抜粋)

「一つの業者が売り手と買い手の両方から手数料を取る両手取引を原則禁止とします。」 民主党政策集INDEX

この政策自体についてのコメントは敢えてここでは触れませんが、「制度の変更」とは、まさにその業界が今後進むべき方向性を政府が指し示す訳ですから、そのインパクトは絶大です。

今後、不動産仲介業界において、その収入源である「仲介手数料」がどのように変化していくのか、以下に私の予想をご紹介いたします。


先行する「弁護士報酬」の変化


弁護士の「報酬基準」は平成16年4月1日に廃止となり、それ以降、弁護士は各法律事務所ないし弁護士毎に料金を定めることが必要となりました。
それにより、最近では法律事務所のテレビCMが流れるようになり、CMのなかで 「着手金はいただきません」、''「相談料は無料です」'' というポイントがアピールされています。
一部の業務に特化した戦略ではありますが、この傾向は不動産仲介業界にも近い将来訪れるでしょう。

また、前回のコラム「時代遅れになった不動産仲介手数料 vol.1」で、現行の仲介手数料に関する基準には触れましたが、今後は下記の「弁護士の契約締結交渉の報酬基準例」を仲介手数料の算定基準の参考にすべきでしょう。

(経済的利益の額)        (報酬金)
300万円以下の部分   ⇒    4%
300万円超〜3,000万円以下の部分   ⇒    2%
3,000万円超〜3億円以下の部分    ⇒    1%
3億円超の部分     ⇒    0.6%


多様化する仲介サービスと仲介手数料


多様化するお客様のニーズに合わせ、仲介業者側もその提供するサービス、料金体系を多様化させていく必要があります。
その方向性の具体例には、以下のようなものが考えれれます。


●高付加価値のサービスを提供し、上限手数料を請求する仲介業者


仲介業務の一部をして「高度なコンサルティング業務」、「住宅診断(ホームインスペクション)の実施」、「契約書面のリーガルチェック」等の業務を提供し、高付加価値な業務の対価として上限いっぱいの報酬を請求する仲介業者。
「取引の安全」を何よりも望むお客様のニーズにマッチするものと思われます。
財閥系、銀行系等の大手仲介業者は、この方向性に向かっていくでしょう。


●提供する業務範囲を特化・限定し、手数料をディスカウントする仲介業者


・新築一戸建て住宅の販売業務に特化し、手数料を無料とする仲介業者
・広告戦略をインターネットに限定し、コスト削減により手数料を割引する仲介業者

不動産業者が売主となっている新築一戸建て住宅においては、消費者保護の観点から各種法律によって取引の安全がある程度確保されます。また、客付けをした仲介業者に対しては不動産業者から手数料が支払われますので、手数料無料化が可能となります。

また、最近では一般個人の不動産投資家も増え、そのような「知識化したお客様」は、ある程度ご自身で不動産取引のリスクをコントロール出来ますし、取引のたびに多額の手数料を支払うことに抵抗を持っています。
このようなお客様のニーズに手数料ディスカウント業者が入り込む余地は十分あるでしょう。



今後、我々の生活を豊にするためにも、既存住宅市場の活性化 は避けて通れない課題です。
そのために、不動産仲介業界は今後数年間のうちに劇的な変化・発展を要求されるでしょう。
その中で、昭和45年から変更されていない仲介手数料の報酬基準 が多様化していくことは''「時代の必然」''だと言えます。

私自身、不動産仲介業界で働く者として、この時代の変化に乗り遅れないよう、努力していく所存です。


なお、次回のコラムでは「両手取引の原則禁止」という民主党政策について、その問題点等を考えてみたいと思います。

リード  中石 輝
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