育児休業法の概要 - 社会保険労務士業務 - 専門家プロファイル

本田 和盛
あした葉経営労務研究所 代表
千葉県
経営コンサルタント

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対象:人事労務・組織

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育児休業法の概要

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少子化・高齢化 育児休業
今回は育児休業法(現行)の概要をまとめてみました。

育児・介護休業法による育児休業


1.1歳未満の子を養育する労働者は、事業主に対して育児休業を申出ることができ、この申出は男性、女性どちらでもできます(なお、女性労働者の産前6週間・産後8週間の休業は労働基準法によって保障されています)。
2.1歳から1歳6ヶ月に達するまでの子を養育する労働者は、その子について保育所への入所を希望しているが叶わない等、厚生労働省令で定める事由に該当する場合は、育児休業期間の延長を申出ることができます。
3.育児休業は原則として、1人の子について1回に限られ、連続したひとつの期間でなければなりません。養育する子は実子、養子どちらでもかまいません。
4.有期契約で働く労働者も、次の要件を満たす者については育児休業の申し出をすることができます。この規定は、就業形態が多様化し正社員以外で働く非正規従業員の保護を図る目的で平成17年の改正で追加されました。

(1)当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上である者
(2)その養育する子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用される見込みがある者。つまり、「育児休業終了後になお在籍期間が残っている人」ということです。育児休業期間中に契約期間が満了する人については、休業を与える意味が無いからです。

育児休業の取得を促進するための関連法規


1.育児休業期間中の待遇(賃金の支払等)
就業規則、労働契約等当事者間の取り決めによることとなりますが、ノーワーク・ノーペイの原則により使用者側は法律上の支払義務を負いません。この期間については雇用保険法の規定による「育児休業給付金」が受給できます。
「育児休業給付金」は育児休業期間中に支給される「育児休業基本給付金」と育児休業が終了し、職場に復帰後6ヵ月後に支給される「育児休業職場復帰給付金」があり、両方併せて休業開始前の賃金の50%が受給できます。なお、労働基準法の規定による産前・産後休業中に賃金を受けなかった場合は、健康保険法の規定により標準報酬日額(標準報酬月額を30で除した額)の3分の2の額の「出産手当金」が支給されます。

2.育児休業中の社会保険料
・健康保険・厚生年金保険料は被保険者負担分・事業主負担分ともに免除されます。また、賞与が支払われた場合も保険料が免除になります。労働者にとっては、当該期間中は保険料を負担することなく、将来の厚生年金の受給額に反映されることになります。
・雇用保険の保険料は現実に支払われた賃金に基づいて計算されるので、無給であれば当然発生しません。

改正育児・介護休業法


 育児・介護休業法の改正が国会で成立しました。1年以内に施行されます。主な改正点は下記の通りです。本コラムでも引き続き改正法の内容について解説していきます。育児休業については、不利益な取扱は禁止されていますが、「育休切り」と呼ばれる問題も浮上しています。今後も目が離せないテーマです。
(1)3歳未満の子のいる従業員に対する短時間勤務、残業免除を企業に義務づけ
(2)男性の育児休業取得の促進・
(3)違法行為に対する厚生労働相の勧告に従わない企業名の公表

執筆:あした葉経営労務研究所 代表
    凄腕社労士 本田和盛

執筆協力:あした葉経営労務研究所 
 パートナー社労士 佐々木隆