ですが、いきなりバッハを勉強することは難易度の関係もあり、なかなか大変なことです。
今回ご紹介するE.Ch.ショルツ・編のバッハへの道は、そんな時に非常に有効な教材のひとつです。
バッハの前にぜひ取り入れたい教材
この教材は、「バッハを勉強するための前段階でポリフォニーを学ぶ」ことを目標にしていると思います。
いわば「ポリフォニーの入門書」ですね。
この教本を学ぶことで、バロックの巨匠、バッハの音楽の学習のかけはしとなります。
この教本は3巻で成り立っており、段階的に構成されています。
■1巻〜ポリフォニーの入門(童謡、民謡をポリフォニーに作り直した)
■2巻〜巨匠の小品を学習(「アンナ・マグダレーナのためのクラヴィーア小曲
集」「ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのためのクラヴィーア小曲集」より)
■3巻〜バッハと息子の小品とJ.Sバッハの作品を学ぶ(エマヌエル、フリーデマン、
クリストフ、フリードリヒ、クリスチャン)
これらを段階的に学ぶことで、ポリフォニーの音楽を学ぶ礎を
強固にしようとする教本と言えるでしょう。
また、ショルツは「全て学ぶためには3〜4年かかる」「ピアノ学習2年目から
開始してよい」「本書を終えたら『インヴェンション』『フランス組曲』へ
進むがよい」と記しています。
本格的にピアノ学習を目指す生徒さんには最適
ある程度ピアノ学習が進んで、これから本格的にピアノの道へ進みたいとする
ピアノ学習者には非常に有効な教本ですね。
これらポリフォニーの基本的な知識、テクニックなしで、いきなりバッハの曲を
弾くとなると、かなりの労力と忍耐力が必要になるでしょう。
バッハはそれだけ深遠で、入り組んだ音楽を書き残していますから、それらを
上手に勉強するためにも、この教材は非常に活用できるものと思います。
ポリフォニーのエッセンスが満載
収められている曲は、「右手の旋律から始めて、左手がそれを追いかける」
という、カノンやコラールの曲で占められています。
また、各曲にはタイトルが付けられており、練習するときのストレスを軽減させるこ
とに貢献しています。また、イメージもこれによって湧くでしょう。
私はこの教材を生徒さんの、「初見の練習」にも使用しています。
2つの旋律を同時に追いかけるためには、素早い目の動きと、良い耳が必要です。
これらを初見で行う訓練を積むことで、非常によい勉強になります。
最初はかなり苦労するかもしれません。しかし、やり方を丁寧に指導し、
励まし、やり遂げることを褒めることで、達成感を味わせたいものです。
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