
- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
2040年、日本は高齢者人口のピークを迎えます。これは喜ばしい長寿社会の象徴である一方で、深刻な課題も浮き彫りにします。特に、介護を取り巻く状況は危機的な状況を迎えており、早急な対策が求められています。
まず、介護人材の深刻な不足が挙げられます。高齢者数の増加に対して、介護を担う人材が圧倒的に足りていません。人手不足はサービスの質の低下に繋がり、現場の負担を増大させ、更なる人材不足を招くという悪循環を生み出しています。
次に、介護保険制度の構造的な問題です。現役世代が支払う保険料で高齢者の介護を支える仕組みですが、少子高齢化により、現役世代(2号被保険者)の数が減少し、制度の維持が難しくなっています。このままでは、介護保険料の上昇や、サービスの質の低下は避けられないでしょう。
さらに、物価高騰による介護事業者の経営環境悪化も深刻です。燃料費や食材料費の高騰は、介護施設の運営を圧迫し、サービスの価格に転嫁せざるを得ない状況を生み出しています。結果として、利用者負担が増え、介護サービスの利用をためらう人が増える可能性があります。
そして、2024年には過去最多の介護事業者の倒産件数を記録しました。これは、上記の複合的な要因が重なり、多くの事業者が経営難に陥っていることを示しています。事業者の倒産は、利用者にとってサービスの喪失を意味し、地域社会全体に大きな影響を与えます。
これらの課題に対して、私たちは傍観者ではいられません。まず、介護の現場で働く人々への理解と支援が必要です。彼らの労働環境の改善や賃金アップは喫緊の課題であり、社会全体で支えていく必要があります。
また、介護保険制度の持続可能性を高めるための議論も必要です。保険料の見直しや、新たな財源の確保など、多角的な視点からの検討が求められます。
さらに、テクノロジーの活用も重要な鍵となります。介護ロボットやICT技術の導入は、人手不足の解消や業務効率化に繋がり、介護現場の負担軽減に貢献します。
私たち一人ひとりが「自助・互助」の意識を持つことも大切です。地域での支え合いや、家族介護のサポート体制の充実など、できることから始めることが、未来の介護を支える力となります。
2040年は決して遠い未来の話ではありません。今から行動を起こすことで、誰もが安心して暮らせる社会を実現できると信じています。
このコラムの執筆専門家

- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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