- 山本 雅暁
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
- 神奈川県
- 経営コンサルタント
対象:新規事業・事業拡大
- 下村 豊
- (経営コンサルタント)
日経記事;『中国、医療機器も外国製排除 病院に国産品調達を要求 世界市場の分断深まる』に関する考察
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皆様、
こんにちは。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。
9月15日付の日経新聞に、『中国、医療機器も外国製排除 病院に国産品調達を要求 世界市場の分断深まる』のタイトルで記事が掲載されました。
本日は、この記事に関して考えを述べます。
本記事の冒頭部分は、以下の通りです。
『中国が医療機器の市場で外国製品の締め出しに動いている。地方政府が病院に国産機器を調達するよう求め始めたほか、中央政府は設計開発や重要部品の調達を中国に移すための法改正案を公表した。米国はサプライチェーン(供給網)から中国企業を排除する動きを強めており、グローバル市場の分断がさらに深まる。。。』
中国のこの動きは、米中摩擦が激化する中で、当然のごとく発生するものとして予想されていました。
本日の記事では、医療機器が対象になっていますが、今後、他の事業分野でも同じような動きが出てくることは、必然です。
私は、数年前にある中小企業から相談を受けました。その企業は、中国の地方にある省で工場をもっていました。ある日、省の役人から呼び出しがあり、商品の製造だけでなく、中国で売る商品については、開発や設計の上流部分を中国内の工場に移管することを求められました。
その中小企業は、海外販売の30%強を中国市場に依存していたため、その省の方針に従うべきかどうか悩んでいました。
中国の省の施策は、内製化をさらに深めて、開発から製造までのすべての流れを地元に置くことで、国外企業がもっている知的財産やノウハウなどを獲得することでした。
幸い、その当時出された省の新方針の実施については、1~2年の猶予期間が設定されていました。
そこで、その企業と相談した結果、この猶予期間の間に、アセアンや米欧などの他地域での販路開拓・集客を集中的に行い、中国市場への依存度を落とす方策を立てて実行しました。
当該企業は、中国市場への依存度を減らした後に、中国内の工場を閉鎖しました。工場は、アセアン地域内に新規に作り、中国への輸出が続けられる限り、この工場から商品を供給しました。
また、ある中小企業は、中国に輸出している商品について、リバースエンジニアリングが行われた結果、商品ロゴを含めた模造品を販売されてしまいました。
その模造品の品質や信頼性が極めて低かったため、顧客からのクレームがその企業に多数寄せられてしまいました。
当該企業は、自社商品と模造品の違いを明確に中国の顧客に説明しましたので、損害賠償請求などの要求は起きませんでした。
結局、模造品を作られた企業は、中国市場での事業を休止しました。私は、この企業から英語圏市場での販路開拓・集客支援を依頼され、1年くらいの時間をかけて販路開拓をお行いました。
私は、何度か本ブログ・コラムで述べていますように、中国を含めたグローバル市場は、均一条件で存在すると考えていません。
私は、数年前から、海外販路開拓・集客支援の対象地域は、米欧アセアン地域などの英語圏市場としています。
中国は、確かに巨大市場ではありますが、日本や米欧などの経済合理性が通じない国です。
ベンチャーや中小企業は、中堅・大手企業と比べて経営体力が脆弱ですので、中国市場に参入して大やけどを負いますと、倒産する可能性があります。
ベンチャーや中小企業は、海外事業に関して決して政治的なリスクを取ってはいけないと考えています。
ベンチャーや中小企業は、米欧アセアン地域などの英語圏市場で販路開拓・集客を行えば、事業収益の維持拡大が十分に可能です。
もちろん、その企業の商品やサービス、が競争力のある、あるいは差別化・差異化可能な強みをもっていることが、大前提になります。
よろしくお願いいたします。
グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁
このコラムの執筆専門家
- 山本 雅暁
- (神奈川県 / 経営コンサルタント)
- グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 代表
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