『ジェトロ 2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査』に関する考察 - 海外展開 - 専門家プロファイル

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『ジェトロ 2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査』に関する考察

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皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本雅暁です。

 

JETROは、1月31日に「ジェトロ 2022年度 日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」を発表しました。詳細は下記Webサイトに掲載されています。

https://www.jetro.go.jp/news/releases/2023/cd4069a125176423.html

 

私は、JETROが毎年行っているアンケート調査結果を、定期的に確認・検討しています。今回、JETROが行いました調査結果の内容について、私の支援先企業の海外事業展開状況と重なることや、異なることがあります。

 

本日は、この重なる、あるいは異なる海外事業展開状況について、本ブログ・コラムで述べます。

 

JETROの調査結果概要(調査結果のポイント、3ページ目)の中に以下の記述があります。

『1 海外ビジネスに対する意欲の変化

■2022年、約半数の企業が輸出数量の増加を達成。同減少は15%。家具・建材や紙製品、飲食料品などの業種で海外需要の増大や円安が輸出増加を後押し。

■今後3年間の方針では、さらに輸出を拡大、新たに輸出を開始する企業がともに減少。市況の悪化、供給制約や調達・輸送コストの増加、各国での現地調達志向の高まりが意欲を下押し。

■海外での事業拡大意欲も過去最低水準に低下。円安や物価高、金利上昇などの事業環境の変化、中国のゼロコロナ政策などの制約要因を受け、当面は現状維持とする企業が増加。』

 

50%の企業が、2022年に輸出事業を伸ばしています。これは、新型コロナウイルスの影響拡大下でも海外需要が強いことと、円安進行などの後押しがあることによります。

 

私の支援先企業の多くも、2019年から2022年までの3年間を通して、新型コロナウイルスの影響拡大下でも輸出事業を拡大できています。

 

これは、2019年前から行ってきました、着実な輸出事業を行うためのステップを行ってきたことによります。

 

また、私の肌感覚としては、新型コロナウイルスの影響拡大下でもすべての国の経済環境が低下するのではなく、短期的に1カ国もしくは2カ国程度の国の経済環境が低下してもその他の国では、影響がないことが多々あります。

 

さらに、昨年の円安は、輸出事業にとって大きな後押しになりました。

 

確かに、国内製造事業者は、国家間のサプライチェーンの混乱や輸入価格の高騰などによる負の影響も大きく受けました。

 

一方で、大幅な円安は、上記要因によるコスト増を含めても、輸出価格の再設定を容易にすることができました。

 

米国や欧州、アセアンなどの英語圏市場は、総じて2022年は堅調な状況になっていたと感じていました。

 

当該市場が堅調であることは、大幅なコスト上昇になって、販売価格を引き上げるに際し、円安がその上昇分のインパクトを和らげてくれます。

 

したがって、私の支援先企業の多くは、2022年に輸出事業の拡大を可能にしました。もちろん、上記しましたように、すべての企業は2019年以前から輸出事業を行うために必要な準備を行っています。

 

輸出対象の商品やサービスは、海外市場で差別化・差異化を実現することができる、あるいは新規性や強みなどをもっていることが、大前提になります。

 

輸出事業の準備には、英語版Webサイトをインターネット上にアップロードして、自社商品やサービスの機能、性能、良さ、特徴などを情報発信し、きちんと海外潜在顧客やパートナーに知ってもらうことなどが含まれます。

 

加えて、自社商品やサービスにマッチした、SNSも併用して情報発信することも有効です。

 

自社商品やサービスにマッチした海外向けインターネット通販、海外販売会社、海外代理店などの活用による、海外販路開拓・集客のプラットフォーム確立も、非常に重要です。

 

上記のような下準備をしっかりと行っていれば、安定した海外の市場環境で売り上げることは難しくありません。

 

私の支援先企業は、2023年度も積極的に海外売上拡大を実現すべく、積極的に動いています。

 

最近の市場環境の調査結果を見ますと、ロシアによるウクライナ侵略の影響という不安定要素はありつつ、米欧アセアン地域などの英語圏市場は、底堅さをもっていることがプラスの安心材料になります。

 

一方、JETROの調査結果概要(調査結果のポイント、7ページ目)の中に以下の記述があります。

 

『3 今後数年の輸出拡大、新たな輸出開始意欲に陰り

■今後(2022年度を含め3カ年程度)の方針について、さらに輸出拡大を図る企業の割合は72.5%。前回から10ポイント超減少。代わって現状維持が9.4ポイント上昇。新規輸出に取り組む比率も減少。

■輸出方針を現状維持または縮小/撤退とする理由については、国際情勢の見通しの不確実性や供給上の制約、輸出先国・地域での現地化の推進を挙げるコメントが複数みられる。

 

輸出方針〔現状維持、縮小/撤退〕の主な理由(一部抜粋)

■コロナや戦争の影響でしばらくは様子見(一般機械)

■為替や相手国インフレ等の経済要因が大きく、慎重に見極める(商社・卸売)

■世界経済の不安定(化)が見込まれ積極投資は行わない方針(アパレル)

■輸出先の相手国の経済悪化により、今後の回復が望めない(小売)

■半導体不足により電子部品が入荷しないため、拡大できない(精密機器)

■工場のキャパシティーと輸出量がほぼイコール(化学)など 』

 

国内企業の中には、上記のように当該リスクを考慮して、2023年に積極的に輸出事業を行わない会社も存在します。

 

輸出事業に関する経営判断は、各企業が自社商品やサービスを含めた自社の経営環境を勘案して決めれば良いと考えます。

 

私は、2023年度のベンチャーや中小企業の輸出事業の動きについて注目していきます。今年末のJETROの調査結果で確認します。

 

なお、私の支援先企業は、どの企業も輸出事業拡大を考えていますので、積極的に関わっていきます。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

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