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日経記事;『ものづくり基地、バングラで整備 初の日系工業団地 今年開所 住商主導、1.7億人市場に的』考察

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皆様、

こんにちは。

グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本 雅暁です。

 

8月16日付の日経新聞に、『ものづくり基地、バングラで整備 初の日系工業団地 今年開所 住商主導、1.7億人市場に的』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

『バングラデシュで初の日系工業団地が2022年内に開所する。住友商事が建設・運営を主導し総事業費は130億円。円借款で周辺の電力インフラも整備し、日系を軸に製造業が集まる「ものづくり基地」に育てる。経済特区指定を受けた数少ない国際水準の団地で、地元政府も税優遇で支援する。人口1億7千万のフロンティア市場へのメーカー進出を後押ししそうだ。。。』

 

本記事に出ています工業団地は、「バングラデシュ経済特区(BSEZ)」と呼ばれています。

 

この工業団地の広さは、190ヘクタールであり、将来事業環境に応じて最大400ヘクタールまで拡張可能とされます。

 

工業団地は、バングラデシュの首都ダッカから20キロメートルの郊外に位置します。

 

この工業団地の作り方は、以前、日本がタイの首都であるバンコク周辺に数多くの工場団地を造成したやり方と同じです。

 

バンコク周辺の工場団地には、当時、数多くの日系企業が良質な労働力を求めて、進出して工場を作りました。

 

当時のタイでは、15歳から64歳までの生産年齢人口が増加しており、労働者賃金も低い状態でした。一般的に、タイ人は勤勉でした。

 

私は、子会社が設立したバンコク周辺の工場の経営支援のため、数多く出張しました。私は、今でも、その当時、進出しました日系企業の熱気を覚えています。

 

現在、数多くの日系企業がタイに根を下ろして事業しており、労働者賃金が上昇し、購買力の付いた中間所得層向けや、関連企業へのビジネスを行っています。

 

現在、多くの日系企業が製造工場の新規投資先としているのは、ベトナムです。ベトナムの首都であるハノイ周辺には、多くの工場団地が造成されており、現在も新規工業が建設されています。

 

2022年8月8日付のブログ・コラム『[FT]移民への魅力が薄れた英国、人材獲得競争でも不利に』に関する考察でも書きましたように、現時点では、ベトナムの労働者賃金が中国や他のアセアン地域に比べて安いことが主要因の一つになっていることによります。

 

ベトナムの製造業の作業員・月額基本給(2021年)は、平均値でUS$265となります。

https://www.jetro.go.jp/biz/areareports/2022/ea6f8923fcf2600a.html

 

上記JETROのWebサイトをみますと、製造業の作業員・月額基本給(2021年)の平均値では、中国がUS$651で最も高く、バングラデシュが一番低くUS$105となります。

 

ベトナムへの工場建設の投資が増えているのは、中国での労働者賃金が上昇していることも理由の一つです。

 

このベトナムの将来は、タイと同じになります。ベトナムの労働者賃金が上昇して、新規工場設立の大きな要因にならなくなります。

 

今後の新規工場設立の投資先として注目されるのが、バングラデシュです。

 

一時期は、ポストベトナムとして、ミャンマーが注目されていました。しかし、同国で軍事政権が樹立されたことで、事業環境は大幅に悪化しました。必然的にバングラデシュへの注目が集まっています。

 

バングラデシュの15歳から64歳までの生産年齢人口は、当面の間、増加傾向にあることも、追い風になります。

https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/iryou/downloadfiles/pdf/countryreport_Bangladesh.pdf

 

現在のバングラデシュの主な製造業は、縫製製品になります。今後、この工場団地に多くの日系企業が新規に工場を設立すると、タイやベトナムで確立された製造業のインフラ整備が進みます。

 

さて、中小企業が、海外に工場設立のような新規投資を行う場合、上記のような一般的な情報に加えて、入念な事前準備が必要です。事前準備は、数多くの項目が含まれますが、私の経験上最も重要なことは、新規工場で作った製品の販売先の確認・集客の目処をつけておくことです。

 

ジェトロ 2021年度「海外進出日系企業実態調査」の結果 ―アジア・オセアニア編―をみますと、今後1~2年の事業展開の方向性として企業が上げたのが、「販売機能」拡大であり最多の59.7%を占めました。

https://www.jetro.go.jp/ext_images/_Reports/01/6e5157e362606548/20210045.pdf

 

これは、海外進出済みの企業が海外事業から撤退する最も大きな要因が、販売不振・集客の困難さによることによります。

 

特に中小企業にとって、継続的な海外販売会社開拓・集客を行うことは、必要であり重要なことになります。

 

これは、国内外の事業環境が継続的に変化し続けており、その環境に合わせるとともに、競合企業との競争にも打ち勝つ必要があることによります。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

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