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日経記事;『トヨタ,独自の車載用基盤ソフト 外販も25年メド実用化,プラットフォーマー狙う』考察

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皆様、

こんにちは。グローバルビジネスマッチングアドバイザー 山本雅暁です。

 

1月4日付の日経新聞に、『トヨタ、独自の車載用基盤ソフト 外販も25年メド実用化、プラットフォーマー狙う』のタイトルで記事が掲載されました。

 

本日は、この記事に関して考えを述べます。

本記事の冒頭部分は、以下の通りです。

 

『トヨタ自動車は2025年にも、次世代車の加速や安全制御機能などを一括で動かす頭脳にあたる基本的な車載ソフトウエアを実用化する。自社製の車両に搭載するだけでなく、他の自動車メーカーにも販売する。。。』

 

トヨタは、何度か本ブログ・コラムで書いていますように、自動運転機能付次世代環境対応車の開発・実用化を積極的に進めています。

 

トヨタは、当該目的のため数年前に巨額投資を行って、米国のシリコンバレーに、ソフトウェア・AI・IoT対応のデジタル技術の研究開発拠点を設立しています。

 

また、トヨタは、積極的にオープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を行っており、かっての垂直統合方式から水平分業方式の事業展開に舵を切っています。

 

例えば、トヨタは、国内有数のAIベンチャーであるPFNに資本参加しています。

 

このような事業環境下で、もしトヨタが本日の記事に書かれていますように、次世代環境対応車に搭載するソフトウェアを制御する車載用の基盤ソフトウエア;パソコンやスマートフォンなどのIT端末機器に搭載されるOSと同じ機能のものを開発・実用化するのであれば、次のステップの事業領域に本格参入することを意味します。

 

トヨタは、単なる自動車メーカーではなく、ソフトウエア、AIなどを含めた総合企業に転換することになります。

 

すでに、テスラモーターズは、一足早くIT・ソフトウエア対応力をEVの開発・実用化に利用しており、トヨタの先を走りつつあります。

 

また、トヨタのライバルであるフォルクスワーゲンやダイムラーも、テスラモーターズと同じビジネスモデルへの変換を表明しています。

 

テスラモーターズは、基盤ソフトウエアを自社開発しており、この基盤ソフトウエアを外販する計画です。テスラは、EVのソフトウエアを随時更新するやり方を、すでに取っています。

 

トヨタのライバル企業は、既存の自動車メーカーだけでなく、グーグルやアップルと言った大手米IT企業も対象となります。

 

これらのIT企業は、すでにトヨタが目指しているビジネスモデルを完成しており、手強い競争相手となります。

 

トヨタが、自動車メーカーや大手IT企業との熾烈な競争に打ち勝つには、ハードウェアとソフトウエアの両輪で、徹底的な差別化・差異化を実現する必要があります。

 

さらに、グーグルやアップルなどの米大手IT企業は、既存事業基盤を急速に破壊・再構築することで、新規事業を立上げ。プラットフォーマーとして市場を支配する立場を獲得しました。

 

グーグルやアップルは、現時点では決して自動車メーカーになろうとしていません。彼らは、スマートフォンやタブレット端末などの電子機器で、自社OSやアプリケーションソフトの提供により確立したプラットフォーム市場で、インターネットを活用して自社の売上拡大を実現しています。

 

グーグルやアップルは、自動車も電子端末機器と同じように、インターネットの出口端末として位置付けており、自社のインターネットビジネス拡大を実現するために活用します。

 

そう遠くない将来、レベル4クラスの自動運転機能が実現すれば、自動車がもつ機能や自動車を活用する目的が大きく変化します。

 

レベルに4の自動運転機能をもつ自動車は、単なる移動目的の手段ではなく、自動車内でインターネットを活用したエンターテインメントサービスが提供されます。

 

グーグルやアップルが目指す未来の自動運転機能付自動車は、言わば移動する電子端末機器になります。

 

テスラが実現しつつある自動運転機能付EVは、まさにグーグルやアップルが想定する価値を内蔵しようとしています。

 

トヨタは、このような米大手IT企業やテスラの動き方を当然のごとく理解していると考えます。

 

従って、トヨタは、自社の強みをベースに、オープンイノベーション;事業連携(アライアンス)を迅速に行い、「Win/Win」がもてる企業と積極的に動いて、車載用基盤ソフト(OS)や関連するアプリソフトの提供を行う必要があります。

 

トヨタは、今まで経験したことがない事業分野に入って行きます。トヨタの動き方は、ベンチャーや中小企業にとって、参考事例になります。

 

この視点から、今後ともトヨタの動き方について注目していきます。

 

よろしくお願いいたします。

 

グローバルビジネスマッチングアドバイザー GBM&A 山本 雅暁

 

 

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