債権の焦げつき② - 経営コンサルティング全般 - 専門家プロファイル

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閲覧数順 2024年12月09日更新

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こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。


「債権の焦げつき」というテーマの2回目。引き続きお付き合いいただければ幸いです。


債務不履行者への対応について、介護の場合は事情が少し異なる旨については、前回お伝えいたしました。


もちろん、介護事業においても、同様の手続きで債権回収に力を注ぐわけですが、この業界において厄介なのが「福祉の精神」です。

 

利用料が支払えないのに督促するのはかわいそうだからと、対応が甘くなるケースがどうしても出てくるのです。

 

福祉の考え方で考えれば「貧しい人を助ける」ということになるのでしょうか。

しかし、やはり契約によりサービスの提供・利用が行われている以上、利用料滞納といったケースには断固とした対応が必要です。

貧しい方を助けるという慈悲の精神も、心のどこかで持っている必要があると思いますが、だからと言って債務不履行を許すわけにはいきません。


 

私が20代のころに勤めていた会社では、毎日朝礼の際にお客様からの入金に関する情報が伝えられ、全員がそれを共有していました。反対に、約定通りに支払いがない先については、営業担当者がどう対処するかについて発表させ、それを共有するといったことが慣例となっていました。

 

介護の世界で、そこまでやるべきか?という意見もあるでしょう。

もし、そういう意見が出るのだとすれば、やはり「福祉の精神」が足枷になってしまっていると言えるかもしれません。

この精神がある故、債権回収に対して及び腰になり、甘い対応になってしまうケースが出てきてしまいます。

 

債権焦げつきリスクへの対応が、民間と違って甘い部分が散見される要因は、「利用者保護」という考え方にもあります。

 

介護事業者がご利用者様と締結する契約には、この「利用者保護」の主旨を盛り込む必要があります。

具体的には、契約の解除に関することです。


ご利用者様との契約を事業者から解除する場合は、その逆の場合と比べて厳格になっています。

利用者様は、比較的短い期間(7日前通告等)で解約を申し出ることができます。

しかし、事業者の場合は、もっと予告期間を長く設定しなければなりません。


事業者から契約解除を申し出るにあたっては、利用者様に不利益とならないように最大減配慮することが求められています。


これは、利用料滞納が長期にわたったために、契約内容に基づいて契約解除をしたくても、簡単にはできないということを意味します。利用者に不利益になり得る(例えば適切なサービスが受けられずに日常生活困難になる等)場合は、即刻解除がしにくいということです。契約解除については書面に記されているにもかかわらず、実際はしにくいのです。


実務上は、ケアマネに相談し、手分けして引受先事業所を探します。

こういう場合は、事情が事情なだけになかなか引受先は見つからないものです。

当然ですよね。債権焦げつきリスクがあるわけですから。


引受先確保がままならない限り、サービス提供は続きます。

一定の期日を設けて、それが過ぎても支払いなければ即サービス終了というのは、人道的見地からも難しいときがあります。


「それでは本人がかわいそう」ということで、ズルズルと契約が継続され、滞納額が膨れ上がるというケースもあるのです。


役所に相談すると、利用料滞納への断固たる対応について一定の理解はしても、続けて「利用者保護」という言葉を合わせて発してくる場合があります。


事業所の債権回収など、役所は知ったことではない。当然一切責任を取ることはないので、すべて事業者責任で行う。非常に割に合わない。


現行の保険制度で行う限り、利用者が不誠実に滞納を繰り返す場合は断固たる態度で対応すべきです。

それについては、役所がとやかく言う筋合いの話ではありません。


事情があって、誠意のある態度であるなら、妥協策等の検討(分割払い等)は必要です。それにも限度がありますが・・・


介護職の中にも、債権回収の重要性や焦げつきリスクの危険性を理解していない方が、まだまだいらっしゃいます。

自分のお金でないから、呑気でいられると思ったら大きな間違いです。自分が貸したお金、サービスを提供した代金が支払われなかったら、笑って許せますか?ということです。


介護の場合、全額が焦げ付くわけではないため、やはり緊張感に欠ける部分もあるかもしれません。もっとも、それはごくごく一部のケースですが。

また、居宅介護支援事業所の場合は、報酬の全額が保険で賄われており利用者負担がないため、他人事のようになりがちです。


会社は、毎月確実に債権が回収できないと資金繰りが悪化し、そのうち存続できなくなります。

朝礼で毎日入金確認するまではいかなくても、利用者様ごとの債権管理はもっと厳格にすべきです。荒っぽいやり方はNGですが、特に不誠実な利用者について温い対応は得策ではありません。断固とした対応が必要です。


「意識は人を変える」ではありませんが、債権焦げつきに対して神経をとがらせることが、会社の永続に直結する一つとなると思うのです。


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(東京都 / 経営コンサルタント)
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有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。

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