- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
9月14日の介護給付費分科会にて、口腔ケア・栄養ケアについて議論されました。
口腔ケアや栄養ケアについては、在宅系では通所介護、それ以外は介護保険施設等で、「一応」加算が整備されています。
分科会で委員の方もおっしゃっていた通り、高齢者の口腔ケアは極めて重要です。
口腔内を清潔にし、嚥下機能を低下させない取り組みをするだけで、高齢者のADL低下を防ぐことが可能であるといわれています。
嚥下機能が低下すれば、誤嚥性肺炎のリスクが高まる。万一肺炎となれば、経口摂取がままならなくなり、食事量が減る。経管栄養等の対応が必要となるが、ADLの低下は避けられなくなる。
本来であれば、歯科医師・言語聴覚士の方の介入があるともっとよいのですが、残念ながらそこまではなかなか難しい部分もあります。中には、うまく関わりを持ちながら加算算定をしているところもありますが、簡単にはいきません。
栄養に至っては、大事なのは至極当然。
栄養と口腔ケアは、切っても切り離せない関係性があります。
上記のような背景から、最低限の取り組みを実施した事業所に、加算という形で評価しているというわけです。
しかしながら、これも加算の問題点であるのですが、手間がかかる割に加算額が低いのが非常に問題です。本当に、笑ってしまう位加算額が低いのです。
実際、加算取得率については、全体の1割程度とのこと。
事業所も、利用者様のことを考えたら、積極的に対応すべきであるとは思う反面、この額ではメリットを感じないという気持ちも、重々理解できます。
事業所の中では、栄養スクリーニングを行い、毎回体重測定をしてBMIを把握しているところもあります。
しかし、その先に進みにくい。
ケアマネさんにそのことを報告しても、ケアマネがその次のアクションをどう起こすかによって変わってしまう。ケアマネに報告せずに、サービス事業所がスタンドプレーをするわけにもいかない。ですので、ケアマネさんの次のアクションを期待するのですが、例えばある利用者さんの栄養状態が低下していって、それを専門医へのアプローチまで進めてくれるケースもありますが、そこまでいかないケースもある。
横の連携と、その問題点を解決するための社会資源を持ち合わせていないと、単に加算を取得することが目的の取り組みになってしまい、あまり意味をなしません。
そういうことまで考えると、この単価ではやってられないだろうな、という感じです。
この問題は、委員の間でどんどん議論していただき、もっと口腔・栄養ケアについて全事業所が積極的に算定できるようにしていただきた。
むしろ、義務にしてもよい位重要なのです。そうなれば、基本報酬に含める等の対応が必要になるでしょう。それは厳しいか・・・
介護予防という言葉が聞かれるようになって久しいですが、要支援者がADL低下を進行させないように、いろいろサービスを提供しています。けれども、あるきっかけによって急激に低下する例は枚挙にいとまがありません。
そうなると、もっと若い世代に対して、口腔ケアや栄養ケアの重要性を啓発する必要があるのでは、という気も致します。
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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