- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
先日(7月15日)に行われた社会保障審議会福祉部会で、先の国会で可決成立した「外国人留学生の介護福祉士国家試験義務化」の実施を5年間延長することが決まりました。
延長となった理由について、外国人留学生はますます増える中、介護福祉士国家試験の合格率が低くハードルが高いため、この状態ではよい流れに水を差すこととなる、ということらしい。
この部会において、外国人留学生の介護福祉士国家試験(令和元年度)の合格率が公表されていますが、27.4%とのこと。
27.4%ということは、約3割。この合格率、本当に低いのでしょうか?
この試験は例年、合格率が7割前後で推移しています。10年前は合格率が5割程度だったとのこと。しっかり勉強すれば基本的には合格しやすい資格だと思います。
外国人留学生は、確かに言葉の問題で不利な部分はあります。ですので、ある程度考慮をしてあげる必要はあると思います。特に介護の専門用語は難しいので、今でもふりがなを付したりしているでしょうが、もう少し平易な表現を使用したり、難しい用語の意味を母国語にて解説する等、工夫の余地はあるでしょう。
しかし、なぜ義務化を進めないのでしょうか?本当に疑問です。
毎回、制度改正ちや報酬改定において、人材不足を何とかしなければならないといいつつ、「質を高めなくてはならない」と言っているではないですか。
外国人留学生は、現地では相当優秀な人材なんですよね。現地のエリートが選ばれて、日本に来て勉強をされているわけで、それはそれはすごいことです。
そんな中で、国家試験合格率が3割というのは、決して低い数字ではありません。
逆に、簡単に間口を広げてもらっては困るのです。介護福祉士という資格の権威が損なわることになりかねません。
ある程度の環境を整備して、日本人との埋めがたい差を極力埋める努力はすべきとして、それ以外は本人の不断の努力をもって合格を勝ち取ってもらいたい。
私も現在、中小企業診断士という国家資格の取得を目指して勉強中の身ですが、合格率は4~5%という難関資格です。
しかし、決して簡単ではない試験ですが、合格率を上げてほしいとか、もっと簡単にしてほしいとか、そんなことは絶対に思いません。難しいから挑戦するわけで、そうでなければ魅力は薄れます。
資格取得はあくまで「手段」でり、合格したからといって身分や収入が保証されるわけでも、独占資格が得られるわけでもありません。しかしそれでも、自分自身の糧となり、将来的に役に立つを思うから、毎日勉強に励んでいるわけです。
介護福祉士国家試験のハードルをいたずらに下げてはいけません。それは、介護業界で働く方自らの首を絞めることになります。
留学生が増えているというなら、先ほどから何度も申し上げるように、生活や勉強する環境を整え、歴然とした環境を埋める努力はするものの、試験自体の質を下げない。これこそ優秀な外国人介護士を育成するために必要なことだと思います。
義務化を5年間延長することが、最良の方法であるとは全く考えられません。
正直言って、愚策以外の何物でもありません。
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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