- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
先日、九州地方を襲った激しい豪雨で、熊本県を中心に川の氾濫、土砂災害に遭われた方には、心よりお見舞い申し上げます。
ただでさえ、コロナの影響で大変多くの方が影響を受け、これから踏ん張ってリスタートを切ろうとしていた矢先の、この出来事・・・ 本当に本当に言葉を失ってしまいます。
災害の様子をニュースで目の当たりにし、あまりの悲惨さに涙が止まりません。
しかも、何もできない自分はもどかしくてたまりません。
恐らく、何らかのチャリティを募ると思います。その時には、可能な限り募金をしようと思います。
今回の災害で、川沿いに位置する特別養護老人ホームが、甚大な被害に遭われました。
お亡くなりになった方がたくさんいらっしゃり、10数人が心肺停止状態とのこと。2階にまで浸水し、自分の命も顧みずに入所者様を上階まで避難させたその行動。仕事の一環とはいえ頭が上がりません。
上階に避難しても、そこを濁流が押し寄せた・・・その恐怖といったら、言葉では言い表せないでしょう。
聞くところによると、この施設周辺の川は急流で知られていて、ラフティングが有名だったとか。
過去にも幾度となく洪水等に見舞われた地域。この施設でも定期的に何度も避難訓練を行っていたそうです。この施設に落ち度など当然なく、やるべきことはしっかりやっていても自然の力には勝てませんでした。
BCPという言葉があります。
「事業継続計画」といい、災害が起きても何とか事業が止まることなく継続できるようにするための計画のことなのですが、東日本大震災にて甚大な被害を受けたことを教訓にし、これを策定しようという動きが出てきています。
しかし、中小企業白書などを見ても、BCPについて言葉すら知らないという方が、まだまだたくさんいることが記されています。
介護の場合、特に施設系では常に避難訓練が欠かせません。地震、火事等いろいろな場面を想定し、しかも日中と夜間にも分けたりして訓練を行います。介護を必要とする高齢者が生活されているわけですから、日頃から訓練しないといざという時にどうにもなりません。
非常食の備蓄も万全にしています。その他、災害によりライフラインが壊滅した場合に、それが復旧される数日間を何とかしのげるよう、例えばバッテリーや防災用品等の備えも必要です。
私の自宅ですら、防災用品や災害用ラジオ機器、水や非常食、また今回のコロナをきっかけに感染対策用品(マスク、消毒液、ディスポ手袋等)も備蓄している位です。昨年はものすごい台風がありましたが、そうなったときに物資が入手できなくなる可能性がありますので、今のうちに2ℓのペットボトルの水は数箱備蓄しています。さらに、思い出の品として、私たち夫婦の結婚式写真や、子どもの写真をデータとともに防災用品の袋に入れています。
自宅では、原則スリッパ(サンダル)を履くことをルール化しています。地震等で物が壊れた時に、裸足ですと大ケガのリスクがあるためです。
自宅のお風呂は1日おきに湯を交換しますが、夜は必ず残しておき、翌朝の風呂掃除の際に抜くようにしています。深夜に火災が発生した際にすぐに初期消火できるようにするためです。
また、部屋のあちこちに、小さなLED懐中電灯を置いています。災害が起これば、電気等は止まってしまうでしょう。そんな時に照らすものがないと厳しいからです。
冷蔵庫には、可能な限り冷凍職員を入れています。食料調達が出来なくなった際に、冷凍食品は自然解凍えも食べられますので・・・
まだまだ十分とは言えませんが、個人レベルでも、それ位の備えをしないと生活できないというレベルまで来ているということです。
さらに事業者の場合、ビジネスで使用する各種データが災害により滅失してしまうことを恐れます。
もはや、ITの力を駆使して、例えば全面クラウド化する等して重要データを守っていくフェーズであるということです。もう、オンプレミスにて管理するのは危険であるような気がいたします。
拠点が1つとか2つであれば、まだ従業者間の意思疎通も比較的容易にできるでしょうが、拠点がたくさんあるようなところですとそうもいきません。関係者に端末を持たせるのか、BYODにより個人端末に仕込むのかは会社ごとの事情があるため一概には言えないものの、従業者全員にアプリを入れさせていざという時に安否確認できるようにするというのも一法でしょう。
さらに介護等の場合、災害に見舞われると出勤できるスタッフが限られてくる可能性があります。
その方ご自身が被災されたり、その他諸々の影響で、少ない人員体制で入所者の安全を守らなくてはなりません。
そうなった時には、施設サービスを提供する上でどこに優先順位をつけるかを考えることが必要ですね。
そういう観点ですと、やはり最優先となるのは「食事」と「医療」です。これが止まったら一たまりもありません。だからこそ、保存が利く食糧や薬品、医療機器の準備は欠かせません。
こういったことを、法人(施設)としてあらかじめスタッフに意識を持たせることが、絶対に必要ということです。もう、刷り込ませる位にしておかないと、いざという時に行動を起こせません。
数え上がればキリがありませんが、それ位の備えを常にしておいて損はないです。
恐らく、今回被災された介護施設でも、相当の備えをしてこられたと思います。
こんなことを申してもどうにもならないかもしれませんが、今後施設開発をしていく上で立地・地形等も整備する上での検討材料に入れる必要性があるかもしれません。
これを教訓に、介護施設におかれましては将来の事業継続への備えをしてみることを、強く勧めたいです。
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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