- 寺崎 芳紀
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
-
03-5858-9916
対象:経営コンサルティング
- 戸村 智憲
- (経営コンサルタント ジャーナリスト 講師)
- 荒井 信雄
- (起業コンサルタント)
こんにちは!株式会社アースソリューションの寺崎でございます。
今回は、特別養護老人ホーム(以下「特養」)の入所状況について、3回目の投稿をさせていただきます。
過去2回のコラムでも書きましたが、ずいぶん前に比べれば、特養の待機者数も減ってきているため入りやすくなっているようです。また、特養に代替する施設も充実してきており、選択肢も増えてはきました。
しかし、特養の入所費用負担は報酬改定のたびに重くなってきています。
過去の報酬改定でも、補足給付(食費と室料)の基準額が高くなり、利用者負担が増えました。非課税世帯や生活保護の方はもちろん別ですが、「特養は費用が安い」とは単純に言えないですね。
そこへきて、来年度の介護報酬改定では、下記のことが検討されているのです。
・利用者負担第3段階を、介護保険料の所得段階に合わせて「本人年金収入80万円超120万円以下の段階(第3段階①)」と「同120万円超の段階(第3段階②)」とに区分する。
・第3段階②について、第4段階との本人支出額の差額の概ね2分の1の額を、本人の負担限度額に上乗せする。
ということです。
第3段階が2つに分かれ、その中で所得の高いほう(第3段階②)については第4段階に近づける形で自己負担額を増やそうという議論がされているわけです。
さらに、補足給付の支給要件に「預貯金基準」というのがあります。これは、利用者の金融資産が単身者で現行1,000万円以下であることが、補足給付を受けられる要件になっているのですが、これを第2段階・第3段階①・第3段階②についても基準を設けよう、ということです。
基準額は、第2段階が650万円以下、第3段階①が550万円以下、第3段階②では500万円以下にすることを軸に検討されています。
制度が持続されるためには、ある程度の負担はやむを得ないと思います。しかし、高齢者の貯金にまで手をつけようとしている(すでにつけているが、さらに)のには、非常に驚いております。
年金も、破綻こそしないとは思いますが、受給開始年齢は確実に上がっていくでしょう。現行は65歳になってから受給がスタートしますが、私がもらうときにはそうはいかないですね。
今から本当にいろいろ備えていかないと、特養でも経済的に入所が難しくなってしまいます。
軽度者の入所制限も法制化されて数年経ちますが、このような制限を設けなくても基本的には入所には重度者を想定していました。重度か否かは検討する上で大事ですが、もっと経済的な部分・家族の有無や介護力等をも考慮していただいたほうがよろしいかと思います。
それから、ユニットケアを否定はしませんが、この超深刻な人員不足の昨今で、人員基準を満たすのは容易ではありません。入所者の経済的負担の観点からも、整備にあたっては再考を促したいです。
最後に、特養のベッドコントロールも、もっと精度を上げる必要があります。前にも書きましたが、「特養は努力しなくても満床を維持できる」時代は終わりを迎えたと思ったほうがいい。入所者がお亡くなりになってベッドが空いたので、入所判定して待機者に声をかけたところ、別の施設に入所されたとかお亡くなりになっていた等、待機者リストが最新のものにアップデートされていないという施設も、かなり多いと聞きます。
そんなことをしていては、いつまでもベッドが空いたままで収益を圧迫してしまいます。
生活相談員やケアマネさんも、その意識が強く持たなくてはなりませんね。
このコラムの執筆専門家
- 寺崎 芳紀
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- 株式会社アースソリューション 代表取締役
介護事業所の開設から運営まで、オールワンでお手伝いいたします
有料老人ホーム施設長・訪問・通所介護管理者・老健相談員、事業所開発等の経験を活かし、2007年7月に弊社を設立しました。介護施設紹介サービスをはじめ、介護事業所の開設・運営支援等を行い、最近では介護関連の執筆活動にも力を入れております。
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