消費生活センターの上手な利用方法4 「こうするといいね!」な相談の仕方 - 消費者被害全般 - 専門家プロファイル

消費者考動研究所 代表
東京都
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対象:消費者被害

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消費生活センターの上手な利用方法4 「こうするといいね!」な相談の仕方

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こんにちは。消費者考動研究所代表 消費者教育コンサルタント/消費生活アドバイザーの池見です。

さて、前回までは、消費生活相談窓口がどんなことを行っているかをご説明しました。
今回は、数多くご相談を受けている視点から、「こんな風に準備・相談していただくといいな」をお話いたします。


相談する前に、経緯を簡単に整理しておくとスムーズ!

どんな方でも、困った時は焦ったり気が動転したりして、なかなかご自分に起きたことをうまく説明できないものです。

相談現場では、まず相談者の身に何が起きたのかを、物語の始まりから終わりまで、順を追って確認しながら聴き取ります。その際に重要視しているのは、単に現象(何が起きた)だけではなく、各場面での意思(その時なぜそう思ったのか、これからどうしたいのか)の確認です。なぜなら、特に契約問題は当事者の動機や意思がとても重要だからです。
ただ、これをいきなり思い出しながら話すとなると、まず思い出す作業が大変で時間もかかり、また重要な事実が漏れる可能性もあります。

そこで、相談する前に、今までの経緯を、簡単に事実のみ時系列で箇条書きにしておくことをお勧めします。
具体的には次の項目があると、とてもスムーズです。

・いつ
・どんなきっかけで
・誰と話して
・どんな言葉(文言)を言われて
・その言葉を聞いてどんな風に思って
・何をしたのか。
・その結果、どんなことが起きたのか
・そしてどうしたいのか(どんな結果を求めたいのか)

特に、相談事やお話が苦手な方は、最初からこの箇条書きメモを相談員に先に渡してもOKです。
消費生活センターに出向くことができない方は、予め電話しておいて、担当相談員宛にFAXを流すのも良いでしょう。

消費生活相談では、相手方と交渉する前に、相談者に上記項目のような経緯書を書いて、先方に書面で送って事実関係の調査を依頼したり、相談者の意思を伝えてもらったりすることが多々あります。そんな時でも、このメモがあると役立ちます。
また、ご本人(当事者)がご高齢や障がいをお持ちで別の方がご相談なさる場合にも、事前にこのメモをご用意いただくと、ご本人の意思の確認と誤った事実認識の防止にとても効果的です。


初めに全てを一つの相談窓口に話すといいね!

以前、出会い系サイトのご相談を受けた時の事です。
相談者の花子さん(仮名)は、占いサイトの広告をクリックしたのをきっかけに出会い系サイトに登録させられました。初めのうちは、相手の優しそうな男性の言葉に惹かれて会話も弾み、次々と課金ポイントの購入要求に応じていました。でも、段々とクレジットカード決済の費用が5O万円を超えて不審に思うようになり、退会と返金を求めて相談にいらっしゃいました。

私は、ヒアリングで状況を確認した後、ご本人があっせん介入を希望されたので、クレジットカード会社との交渉を軸にサポートする事にしました。

その後、あっせん交渉している中である事に気付きました。
花子さんが私に相談してきたのは、この3カ月ぐらいの間に起きたトラブルです。その間のクレジットカード請求明細書を見せていただいた限りでは、対象の相談案件しか見えてきませんでした。
しかし実は花子さん、以前にも別のカード会社で同様のトラブル起こし、最終的に120万円も払わされた影響で、いろんな支払いが困難になっていたのです!いわゆる多重債務状態です。
そうなると、今回の50万円の出会い系サイトトラブルを解決すること大切ですが、その前に日々迫る返済にどう対処するのか、あるいは債務整理を行うのかを先に検討しなければなりません。

花子さんいわく、「最初のトラブルの時は、友達の知り合いの法律に詳しい人に相談し、出会い系サイトの請求を無視すればいいと言われた」とのこと。ああ、その時にまずここに相談していただいていれば…とは思いましたが、改めて多重債務も含めて相談できるよう、ご本人の同意を得て法律相談窓口を紹介しました。

しばらく後、その後どうなったのか気になって花子さんに電話すると、まだ何も解決していないとのこと。びっくりしてその理由を伺うと、インターネット上の「弁護士も人によって得手不得手がある」という口コミを見て不安になり、いろんな法律相談窓口に相談しながら渡り歩いていました。

どんな窓口であっても、単なる相談だけでは解決のお手伝いはできません。また、消費生活に関する相談の多くは、ちょっとしたことで、その方の人生を左右することもあり得ます。
「選択の自由」がありますので、どこの相談窓口に何をご相談されるかはその方の自由です。あるいはセカンドオピニオンとして別のところのアドバイスを聞いてみるのも、それは状況によって良い判断材料になります。しかし、相談をお受けする立場としては、相談者との信頼関係でチームを組んで解決目指そうとします。
「以前にも・他にもこんなトラブルで困っている」「他にも相談している」などは、ぜひ包み隠さずありのままお話ください。むしろ全てお話しいただいた方が、ご相談の背景や本質まで理解して対応できますので安心です。


うのみにせず、「お任せ」にしない考え方も大事

意外に思うかもしれませんが、相談する際は、相談員や交渉相手・周りの人の意見をうのみにせずに・またお任せにしない方が、結局は自分で納得が行く結果を見出せます。

相談を受ける側はプロですので、相談者の理解度を確認しながら相談や説明を行います。しかし、多くの場合、初対面同士が内容を確認しあい、共同作業しますので、相談者も相談員も相手の考え方などを知らない状態です。当然、以心伝心はできませんので、自分の考えていること、わからないことをはっきりと伝えることがとても重要です。「わかったつもり」は危険!

おすすめは、相談員の説明に対して、「どうしてそうなの?なんで?いつ?」など5W1Hを常に心の中で確認しながら相手の話を聞くことです。もし、一つでも不明な点があれば、その場ですぐ質問してクリアにしましょう。遠慮はいりません。むしろ、質問していただいた方が助かります。この作業一つ一つの積み重ねが、仮に全面解決ができなくとも納得の行く結果を生みます。

更に付け加えますと、弁護士や司法書士他お金を支払って専門家に仕事を依頼する際は、依頼する前に、この「なぜ・どうして」をぶつけて、相手のチェックすることを特にお勧めします。
きちんと対応する方こそ、あなたに合った契約相手です。

「相手は専門家でプロだし、自分は法律やその分野のことはよくわからないからお任せで」もNGです。自分が依頼したトラブル解決が、今どんな状態になっているのか、今後どうなるのかを、時折自分から依頼先に問い合わせて説明を受けるようにしてください。すれ違いや思い違いを防ぎ、円滑な解決につながると思います。


今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。


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(東京都 / 消費生活アドバイザー)
消費者考動研究所 代表

消費生活の専門家が消費者教育・啓発や消費者志向経営をサポート

消費生活アドバイザーは、消費者・企業・行政の懸け橋として、法律、生活知識、消費者志向経営や環境問題まで幅広い専門知識を持つ消費生活の専門家です。企業・自治体等で培った豊富な実務経験とノウハウで、貴方の消費者力UPと企業活動をサポートします。

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