- 池見 浩
- 消費者考動研究所 代表
- 東京都
- 消費生活アドバイザー
対象:消費者被害
- 遠山 桂
- (行政書士)
- 大岡 辰昇
- (行政書士)
ワンクリック詐欺の解決をうたう探偵業者などにご注意!
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こんにちは。消費者考動研究所代表 消費者教育コンサルタント/消費生活アドバイザーの池見です。
近年、様々な消費者トラブルが多数発生し、マスコミでもその内容とともに消費生活相談窓口を紹介するようになって、「消費生活センター」「消費者センター」の名前が知られるようになってきました。私たち消費生活の専門家にとって、とても喜ばしい傾向です。
一方で、「消費者○○相談センター」のように、窓口の名称を公的な消費生活センター利用に思わせて、ワンクリック詐欺や架空請求の被害者に電話をかけさせて不要な契約を結はせようとする、一部の探偵業者や士業による二次被害が多発しています。その多くは、検索エンジンで「消費者センター」「消費生活センター」「ワンクリック詐欺」などと検索すると、広告上位に表示される傾向が見られ、注意が必要です。
トラブル相談事例
Aさんは、スマートフォンで無料アダルト動画サイトにアクセスし、トップページの動画再生ボタンをタップしました。
すると突然カメラのシャッター音がして、画面にはID番号と、登録料15万円を今日中に支払わないと30万円になると警告画面が表示されてしまいました。そのシャッター音と警告文に驚き、Aさんはとても不安な気持ちになりました。
ふとサイト内を見ると、「誤操作退会希望の方はこちら」と書かれたアイコンがあったので、そこをタップしました。すると自動的にメールが発信されてしまい、その返信メールには指定する電話にかけないと手続できない、ID番号と記録写真があるので必ず電話するようにと記載されていました。
Aさんは、アダルトサイトのワンクリック詐欺の対処方法について、無視して何もしなければいいと知ってはいました。しかし、きっと個人情報を相手に持っていかれたのではないかと怖くなり、警告文の「今日中」との言葉とともに気持ちが焦り、検索エンジンで相談窓口を探しました。
すると、検索トップに「ワンクリック詐欺専門!消費者○○センター」と書かれたリンクを見つけました。きっと消費生活センターか何かだろうと思い、フリーダイヤルの相談窓口に電話しました。
電話口の人に内容を話すと、「何もしないというのが基本的な対策だが、それだけでは相手に個人情報が伝わっている場合、電話で脅されたり個人情報を売買されたりするので危険だ」と言われました。
更に尋ねられたID番号とメールで送られてきた電話番号を伝えると、しばらく保留音が鳴った後、「このサイト業者は非常に悪質な業者で当社のブラックリストに載っている。いろいろな手口で脅してくる可能性が高い。今すぐ行動を起こせば、当社なら今後一切サイト業者が関わってこないように出来る。急ぎ5万円を当社の銀行口座に振り込んで欲しい。契約書は今日郵送するので、署名捺印して返送してほしい」と説明されました。
消費生活センターでお金かかるのは変だと思いましたが、とにかく焦っていたのでネットバンキングで支払ってしまいました。
ここがポイント!
初めに、その相談窓口はどこが運営しているのか確認しましょう
サイトの上部か一番下の方の隅に、運営会社や会社概要のようなリンクがあるはずです。自治体の消費生活センターかどうかをきちんと確認しましょう。
探偵業者は、相手と交渉する仕事をしてはいけないことになっています
仕事として、代金をもらって相手と代理人として交渉して良いのは、弁護士と、認定司法書士や特定社会保険労務士など一部の限定的な範囲で認められた人のみです(弁護士法第72条関連)。
それ以外の探偵業者や行政書士・司法書士は、代理人として相手と交渉することができません。探偵業者に依頼しても、調査はできても、相手に「やめろ」と要求できる訳ではないのです。
(参考)弁護士法 http://www.houko.com/00/01/S24/205.HTM#s9
電話で依頼する約束をしても、契約書は安易に送らないで!
なお、探偵との契約成立は、契約書を取り交わした時と探偵業法で定められています。口約束だけでは成り立たないので、仮に電話で「お願いします」と言ってしまったとしても、契約書にサイン・署名しなければ大丈夫です。
(参考)探偵業法 http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/tetsuzuki/tantei/tantei_menu/tantei_gaiyo.html
個人情報がタップしただけで相手に伝わることはありません
ワンクリック詐欺のサイト業者が画面に表示させるID番号や端末番号は、勝手に番号を振って脅しているだけです。個人情報を知っている訳ではありません。シャッター音も、音を鳴らしているだけで、撮影などしていません。
またクリックしただけで名前や住所・電話番号などが相手にわかってしまうことも、基本的にはありません。
そう考えると、この窓口の担当者が、相談した人に誤認させるような説明を行っていますので、この時点で法的にはアウトです。
もし、相手に個人情報を教えてしまっても焦らないで!
サイト業者に、メールや電話で氏名・住所・電話番号などを教えてしまった場合、一度提供した情報をこの世から抹消することは困難です。ネット上に一度書き込んだ情報を完全に削除することが困難なのと同様です。
だからこそ、この世から完全に抹消できないことをあたかも可能と言って勧誘するのには問題があります。更に、たとえ住所を知られても、相手が家まで押し掛けることはありません。
一切相手にせず無視し、キチンと善後策を取ることが大事です
相手に伝えてしまったものを完全に消すことは困難ですが、自分の防御を強固にすることはできます。次の善後策を検討して実行しましょう。
・相手の電話番号やメールアドレスは着信拒否設定を行う
・常時留守番電話にする
・パソコンも、スマホやタブレットもセキュリティソフトをインストールし、常時最新な状態に更新する
・不正なソフトを送り込まれないよう、OSの設定を強化する。
・迷惑メール拒否設定の設定レベルを上げるどうしても数多くの不審電話・迷惑メールが続くようなら、電話番号・メールアドレスを変更する
インターネットで情報を集めることは構いませんが、広告や書き込みが果たして正しいのかどうか、うのみにせず、冷めた目で客観的に検討してください。
また、こうした消費者トラブルの場合、何が何でも今すぐ対処しないといけないような案件は、期限ギリギリの解約・返品手続と命に係わること以外、まずありません。基本的には、2~3日後のご相談で大丈夫です。ご相談の場合は、ぜひお近くの消費生活センターまたは消費者ホットライン188番にお電話してくださいね。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
このコラムの執筆専門家
- 池見 浩
- (東京都 / 消費生活アドバイザー)
- 消費者考動研究所 代表
消費生活の専門家が消費者教育・啓発や消費者志向経営をサポート
消費生活アドバイザーは、消費者・企業・行政の懸け橋として、法律、生活知識、消費者志向経営や環境問題まで幅広い専門知識を持つ消費生活の専門家です。企業・自治体等で培った豊富な実務経験とノウハウで、貴方の消費者力UPと企業活動をサポートします。
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