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小暮写真館1 口に出してはいけないタブーがある家族

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小暮写真館
2013年放映。NHK BSプレミアムドラマ。全4話。原作宮部みゆきさん。私は再放送で視聴しました。

以前にコラムでもご紹介した小野不由美さんの
「残穢(ざんえ)」
と言う、家にまつわる、過去の住人達から、今の住人に繋がる不幸の連鎖と言うようなものを題材にした小説を取り上げました。

この「残穢」が映画化されるようです。


今回の小暮写真館はそうした幽霊など登場するホラー小説とはちょっと趣が違うものの、
やはり家に残るかつての住人の想いが、幽霊となって現れるお話なので、
ここで幽霊つながりでご紹介してみたいと思います。




商店街の閉店されていた写真館を買い取り、ある家族が越してきたところから物語は始まります。

その花菱家は、お父さん(石黒 賢さん)、お母さん(松下由樹さん)、長男ハナちゃん(神木隆之さん介)、小学4年生の次男、光君(あだ名はピカちゃん)の3人家族です。

一家は、写真館を経営していた小暮さんと言う老人が亡くなり、ほったらかしにされていた物件を気に入り、内装や看板などもそのままにして暮らす事にします。

そのため、近所の人たちは写真館がまた開店したのだと思い込む人たちもいたりします。

そんな中、とある知らない女子高生から小暮写真館と名前の書かれている封筒に入った1枚の写真を手渡され
「この写真、私が、神社であったフリーマーケットで買ったバインダーの中に紛れ込んでいたんだけど、良く見たら幽霊が写っている。怖いから、お宅で処理してよ」
と頼まれてしまいます。

その写真には、夫婦と思われる男女と、20代後半の息子と思しき青年、そして誰だかわからない中年の女性、そして端の方に、これも誰だかわからない20代の女性の首だけが写っている心霊写真でした。

途方に暮れた長男のハナちゃんは、小暮老人の家族にでも事情を聞いてみようと、仲介してくれた不動産屋さんに出向くと、そこで働いていた女子事務員・垣本順子(成海璃子さん)と出会い、彼女が
、「この幽霊の女性、悲しそう。涙を流してる」
と指摘されます。

不動産屋の社長(笹野高史さん)の情報によると、
これは三田家の親子であり、タバコの不始末で3人とも亡くなった、
他の人物には心当たりが無いと言う。

ハナちゃんは、涙を流す幽霊の事をほっておけず、
三田家があった近所の人や、神社でのフリマの責任者である蕎麦屋の女性などを辿って、経緯を解明しようと奔走します。

ここら辺の展開は「呪怨 その1」で紹介した小野不由美さんの小説「残穢(ざんえ)」を彷彿とさせます。


霊が出るとされる家々の、過去の経歴を辿って、住んでいた人たちの忌まわしい歴史の連鎖を調べて行くお話です。
そして、行き着いた先が、親子が入信していた、とある新興宗教団体でした。

この写真が紛れていたバインダーをフリマで出展していたのもこの新興宗教団体だったので、この写真の持ち主も団体のスタッフだったのです。

そこで、ハナちゃんは執拗に勧誘が厳しい事で有名なその団体の教会へ話を聞きに乗り込みます。

面会に出てきた、その団体の女性幹部こそ、写真に写っていた謎の中年女性で、独特の慇懃無礼な人に有無を言わせない雰囲気をかもし出していました。

蕎麦屋の女性のふとした一言が頭をよぎります。

「なんで、この幽霊の写真、わざわざフリマに出したバインダーなんかに紛れ込んでしまったんだろう?まるで、この写真自体が、宗教団体から逃げ出したみたいだよねぇ」

ハナちゃんは、その女性幹部に写真を返してくれと詰め寄られるのですが、そこでとっさに
「実は、その写真は怖くなって燃やしてしまいました」
とウソを付いてしまいます。


そしてついに幽霊の女性の正体にたどり着きます。

実は、その女性は今も生きており、三田家の息子さんの元嫁であり、元教師である女性だったのです。

お嫁さんは、熱心な信者である義理の父と母に、結婚も反対され、祝福されないまま結婚した後も、事あるごとに入信を勧誘され、
担任をしていた学校のクラスが学級崩壊になって、心労で倒れてしまったことさえ、「あなたの信心がないから、子供たちからも慕われないんだ」
と心無い言葉を言われ、ついに耐え切れず離婚してしまったのでした。


写真に幽霊のように出現したのは、離婚後、火事で三田家族が亡くなったことを知り、
かつては愛し合っていた旦那さんのために涙を流した姿が映りこんだ「生霊」のような、女性の「封じ込めていた悲しみの姿」だったのです。

元お嫁さんの一言
「もう悲しみなんて感じることも出来ないと思っていたけど、こんな所(写真)に、悲しく泣いている私がずっといたんだねぇ」

もちろん例の写真は、本来の持ち主としてふさわしい、その女性に手渡されました。

そんな事件をきっかけに、ハナちゃんは「心霊写真探偵」と周りから勝手に呼ばれるはめになり、また次の事件の以来を頼まれてしまうのでした。



と、ここまでストーリーを書くと、あたかもホラーストーリーのようですね。

たしかに要素はホラーなのでしょうが、ドラマのテーマは、家族間の愛情をテーマに描かれたホームドラマなのです。


実はハナちゃんの花菱家にも、家族内に触れてはいけないタブーがあります。

それは次男のピカちゃんは、幼い時に風邪をこじらせ亡くなっているのです。

もちろんお母さんは懸命に看病しましたが、看病疲れで寝てしまっている間にピカちゃんは死んでいたのです。

その事で、お父さんの親戚筋からお母さんは「お前が殺したんだ!孫を返せ!」と酷くなじられ、お母さん自身も自分を責めてしまいます。

ハナちゃんはハナちゃんで、もっと自分が何かしてあげられていたら、ピカちゃんは死ななかったんじゃないかと自分を責めて罪悪感を抱いています。

親戚とも交流を無くし、家族それぞれが罪悪感を抱いていることで、家庭内は一見表面的には暖かく、和やかなのにどこか閉塞感が漂っています。

お互いに自分の抱いている感情を自分からは口にしないので、公にできず、風通しが悪いのです。
お互いオープンではないのですね。


「残穢」に出てくるワケあり物件に住んでいた過去の住人達も、
そんな公には口に出来ない忌まわしい過去・秘密の過去が積み重なって、
浮かばれない人の想いが幽霊とか怪奇現象として次に住む住人に降りかかるのです。

語られない忌まわしい過去、それがタブーとなりそれが穢れと呼ばれるようになるのではないでしょうか?

そうした閉塞感がある家族のことを家族心理学用語で「機能不全家族」と言います。

機能不全家族には、暗黙の了解と言うか、独特のわけがわからないルールに縛られているのも特徴です。

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