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株式公開のための法務 「上場会社が行う情報開示・情報提供活動」

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株式公開(IPO)のための法務

株式公開のための法務

 「上場会社が行う情報開示・情報提供活動」


 前回までは、上場までの大まかな流れを説明しました。今回は、上場後に会社が行う情報開示・情報提供活動を説明したいと思います。


1、上場会社が行う情報開示・情報提供活動の種類

 IR(Investor Relations)とは、会社が、株主や投資家に対して、投資判断に必要な情報を開示・提供する活動をいいます(※1)。上場会社は、資本市場から適切な評価を受け、資金調達を円滑に実行できるようにするために、情報開示・情報提供活動を行っています。

 上場会社が行う情報開示には、法律や取引所の規則で義務付けられているもの(制度的開示)と自主的に行うものとがあります。そして、上場会社に情報開示をするよう義務付ける法律としては、会社法と金融商品取引法(金商法)が挙げられます。

  ※1 IRとは企業が自主的に行う開示のことで、法律や取引所の規則で義務付けられた制度的開示はIRに含まれないと
      考える立場もあるため、以下では、IRという言葉ではなく、情報開示・情報提供活動という言葉を用いることにします。


2、会社法に基づく情報開示

  会社法は、会社に対して、上場しているかどうかにかかわらず、一定の情報開示をすることを義務付けています。そのため、上場会社は、上場前から引き続き、会社法に基づく情報開示を行う必要があります。

  会社法に基づく情報開示の例としては、取締役が定時株主総会で計算書類を提出(提供)して定時株主総会の承認を受けること、また、取締役が定時株主総会で事業報告を提出(提供)してその内容を定時株主総会に報告すること(会社法438条)が挙げられます。


3、金商法に基づく情報開示


  上場会社は、金商法に基づく情報開示をする必要があります。

  金商法は、一般投資家が十分な投資判断を行うことができるよう、迅速・正確に、有価証券の価値に関する情報を市場に反映しようとしています。そのため、金商法は、上場会社に対して、会社法が要求するよりも詳細な情報についての開示を義務付けています。

  具体的には、金商法は、上場会社に対して、有価証券報告書(※2)、内部統制報告書(※3)及び四半期報告書(※4)を提出するよう求めています。提出された内容については、EDINET(電子開示システム)により、インターネットで24時間閲覧することが可能となっています。

 ※2 有価証券報告書…上場会社が金融商品取引法に基づき通期決算後3ヶ月以内に財務局に対し作成し提出する決算確報
 ※3 内部統制報告書…当該会社の属する企業集団及び当該会社に係る財務計算に関する書類その他の情報の適正性を確保する
                                 ために必要なものとして内閣府令で定める体制について、内閣府令で定めるところにより評価した報告書
                                 (金商法24条の4の4第1項)
 ※4 四半期報告書   …事業年度を3ヶ月(四半期)毎に区切り、前事業年度の有価証券報告書と比較して変動があった情報を
                                開示するもの


4、取引所の規則に基づく情報開示

  上場会社は、金商法に基づく情報開示に加え、取引所の上場規則に基づく情報開示をする必要があります。

  具体的には、上場会社は、投資判断にとって重要な会社情報が生じた場合には、適時かつ適切にその内容の開示を行う(タイムリー・ディスクロージャー)ことになります。また、四半期毎に、取引所によって定められている様式によって、決算内容を開示する(決算短信)ことになります。


5、自主的に行う情報提供活動

  上場会社は、これまで説明してきた制度的開示にとどまらず、自主的な情報提供活動も行っています。

  自主的な情報提供活動については、各上場会社に委ねられており、内容や量、形式は様々です。その形式としては、説明会の開催やIRサイト、冊子の配布等が挙げられます。


6、情報開示・情報提供活動のための体制構築の必要性

  今回説明してきた情報開示・情報提供活動の多くは、予め計画を立てて遂行することが可能なものです。上場予定会社は、上場後に適時かつ適切な情報開示・情報提供活動を行うことができるよう、体制構築をしていく必要があります。


フランテック法律事務所 弁護士 金井 高志

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