- 田中 香津奈
- かづなFP社労士事務所/株式会社フェリーチェプラン 代表取締役
- 東京都
- CFP・社会保険労務士
対象:保険設計・保険見直し
老後保障とは、亡くなった時の経済的リスクを補う保障です。主なニーズとしては、
▲老後の生活資金を準備したい
▲公的年金が支給されるまでの「つなぎ年金」がほしい。
があります。
経済的リスクは家族構成・現在の収入・資産状況などによって、一人ひとり異なりますが、今回は、夫婦2人で定年退職後に生活していく場合の老後保障について解説していきます。
「老後に必要なお金はいくら?」を考える上では、定年退職後に生活していくために必要な金額を知ることが大切です。
この金額を『必要保障額』といいます。
具体的には、夫婦2人の期間と妻1人の期間の生活費に別途必要資金を加えた支出見込額から、公的年金(老齢年金など)、退職一時金・年金や預貯金などの収入見込額を差し引いて算出します。もちろん将来に対する予測ですから、完璧な金額を出すことはできませんが、およその目安は算出できます。
それでは、さっそく5つのステップで必要保障額を算出してみましょう。
STEP1:夫婦2人で過ごす生活費の計算…A
現役時代の生活水準をもとに、夫の定年退職後から夫が死亡するまでの夫婦2人で過ごす期間において、年間どのくらいの生活費を必要とするか見積もります。この期間は、現役時代の生活費の70%を目安とします。定年退職後、衣服代や交際費、などの消費支出を合わせて、30%ほど支出が減ると考えて下さい。
現在の年間の生活費×70%×(夫の平均寿命-定年退職の年齢)
※夫の平均寿命は80歳とします。
STEP2:妻1人で過ごす生活費の計算…B
夫が死亡後、妻が1人で平均寿命まで生活する期間は、現役時代の生活費の50%を目安とします。
現在の年間の生活費×50%×(妻の平均寿命-夫死亡時の妻の年齢)
※妻の平均寿命は86歳とします。
STEP3:別途必要資金の計算…C
住居費(持ち家の場合:住宅ローンの残高や住宅のリフォーム資金、賃貸の場合:家賃)、余暇費用、病気やケガなどに備えての予備費、子どもへの結婚援助資金、葬儀費用、相続費用など生活資金以外で別途まとまって必要になる資金を見積もります。
●住居費:(持ち家・賃貸により異なる、持ち家の場合維持費も考慮する)
●余暇費用
●予備費(病気やケガなどに備える)
●子どもへの結婚援助資金:援助予定金額(全国推計値179.3万円 /リクルート「ゼクシィ結婚トレンド調査2014」)×子どもの人数
●葬儀費用:約189万円(日本消費者協会 2014年)
●相続費用
STEP4:収入見込額の計算…D+E+F
老齢年金などの公的保障、退職一時金や年金などの企業保障、預貯金など自己資産の収入を見積もります。
遺族年金などの公的保障 ・・・D
企業保障(会社員の場合、退職一時金・年金など) ・・・E
自己資産(預貯金、有価証券、売却可能資産など) ・・・F
STEP1からSTPE4までの各数値から必要保障額を算出します。
老後保障のベースとなるのは、公的年金ですが、自営業者の場合は年金が上乗せにならないなど、職業によって必要保障額は増減するものです。
このため、転職するなどライフプランの変更に応じて、定期的に保険の見直しをすることが大切です。
ここがポイント!
「老後保障はいくら必要?」を考える上では、『必要保障額』を算出することが重要です。
必要保障額の算出方法の一例をご紹介しましたが、将来に対する予測であり、完璧な金額を出すことはできませんが、およその目安は算出できます。
『必要保障額』が生命保険で補う必要のある金額となり、適切な金額での年金保険や死亡保険(終身保険、定期保険など)の加入につながります。
(2004.9.26公開 2015.6.8更新)
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