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対象:住宅設計・構造
Ⅱ 軸 組 編
1:土台
土台は柱が負担する軸力を、土台を介して基礎へ伝達する重要な役割を担っています。
柱の軸力とは、固定荷重、積載荷重、積雪荷重(鉛直荷重)による長期荷重と、
風圧力や地震力(水平荷重)により生ずる短期荷重とを合計した上下に働く力を云います。
軸力に関する土台と柱の話です。
柱を120mm角で、土台を105mm角とする設計においての妥当性を数値にて検証します。
120角のスギ材の柱で、座屈長さ2850mmとすると、長期許容圧縮力は44.7kNになります。
此に対して105角のヒノキ材の土台の長期許容めり込み耐力は38.3kNです。
この場合の柱の軸力は38.3kN迄を負担するとして計算します。
基本的には土台の幅は、採用する柱と同寸で有るべきです。ちなみに、
土台を120角にすれば、長期許容めり込み耐力は49.6kNとなり、
柱の耐力は、本来の力の44.7kN迄使用できます。
此の様に、上の材料が100%の力を発揮できる様に下の材料が支える事が
構造設計においての基本になります。
柱の種類には、1階から2階まで1本の材を用いるのを「通し柱」と云い、
各階ごとに切れ切れで使うのが「管柱」と云います。
サイズを揃える話です。
通し柱が120角なら、管柱も120角、土台も120角にしたい。
理由はホールダウン金物を取り付ける際の芯ズレを少なくしたいからです。
1階にスジカイ45x90を使用します。外壁側に面を合わせると、
スジカイ45mm+金物幅40mmの芯は(45+40/2)=65mmとなります。
土台が120角ですと5mmの芯ズレですが、
土台が105角ですと(65-105/2)=12.5mmのズレが起きます。
土台の内側は(105/2-12.5)=40mmの残りになります。
此の寸法では施工のミスは許されません。
ミスがあると土台が割れる事態も有り得るからです。
管柱の105角の場合でも同様です。 サイズは揃えるのが最良です。
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