- 中舎 重之
- 建築家
対象:住宅設計・構造
Ⅳ 仕 上 編
1:屋根
軽い屋根の話です。
屋根は葺く材料により勾配も仕様も変わります。
此処では、軽い屋根として金属系の屋根を取り上げます。
日本列島全体が地震の活動期に入っています。
地震対策から考えれば、屋根は重いより、軽い方が有利です。
理屈を云えば重い屋根でも、それに相当した耐力壁を設ければ良い事は確かです。
では、その理屈通りに木造の構造設計者が対応できるかと云えば、大きな疑問が付きます。
全国に一級建築士が30万人いると云われています。その中の1万人が構造設計者との事です。
さらに云えば、木造の構造を担当する民間の設計事務所は100人も居ません。
全国47都道府県で割りますと、1県に2人の数となります。
木造の構造を担当する者に出会うのが稀なのです。
当方が理屈を云えばと、断りを入れた理由です。
重い屋根の話です。
重い屋根とは、日本瓦葺きの屋根です。軽い屋根は、金属系とスレート系に大別できます。
スレート系はアスベストが問題になり、屋根材の製品は一斉にノンアスベストを宣言しました。
このノンアスベスト宣言以降の製品の強度が極度に低下して、耐久性も短いものになっています。
当方の設計では、スレート系は使用しません。 残るのは金属系のみです。
ただし、近年の首都東京の東側に当たる4県:千葉、埼玉、茨城、栃木の突風被害を見ていると、
手放しで金属系が良いとは言えない状況です。
メディアの映像で見ると、軽い屋根は、屋根本体が根こそぎ飛ばされています。
重い日本瓦の屋根は、瓦に被害が出ても、屋根全体は安全です。
阪神淡路大震災では、重い屋根の瓦が悪者にされました。
関西は、秀吉時代1596年の伏見地震以来400年の永きにわたり地震とは無縁でした。
台風は四国に上陸し瀬戸内海を通り関西に再上陸するのがルートでした。
台風対策として、重い屋根が常識でした。
そう考えると、首都東京の東側4県では、重い日本瓦の屋根も有りかなと思われて来ました。
屋根断熱の話です。
金属系の屋根には、綿密な断熱仕様の設計と施工が絶対的に必要です。
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