- 中舎 重之
- 建築家
対象:住宅設計・構造
杭の話の続きです。
杭に似ていて非なる物があります。
水道管(42.7径)の細い管を多数使用する工法です。
此は杭工法とは云わず地盤改良の工法として扱われます。
此は建物の重量は支えますが、地震時の水平力に対しては、まったくの無力で何ら抵抗もしません。
使用を控えるのが賢明です。
擁壁と敷地の話です。
人工的に地形を作り出すのに、土地の造成があります。
擁壁が必然的に築造されます。 擁壁の築造に当たり、敷地側の土を掘削します。
擁壁が完成しますと、当然掘り出した土を埋め戻します。 これを盛土と云います。
此の盛土が問題なのです。 土は一度掘り起こし空気に晒すと、その体積が3倍になります。
この膨張した土を埋め戻して地面をたいらにしても、
建物の重量を載せると土の体積は縮小します。 即ち沈下と云う現象です。
擁壁の築造に当たり触らない地盤を地山=切土と云います。
此の地山に建物の重量を載せても沈下の現象は起きません。
建物の重量で下がる軟らかい盛土と、重量を載せても下がらない固い地山の上に
建物を建てた場合に起きる現象を、不同沈下と呼び、
建物にとって最も有害な救われない事態になります。
此の全く違う地盤の上に、建物を建設するには対策が必要です。
対策1:擁壁側から、建設する建物の位置を離すことが一番です。
擁壁の高さが3mなら、水平距離で3mは離して下さい。
対策2:上記の距離が取れない場合は、擁壁側の盛土部分は重量の軽い
平屋にします。地山=切土部分には重量の重い2階建てとします。
当方は、上記と逆のケースで、建物が傾斜している場面を幾つも目撃しています。
此の盛土と切土の問題は深刻で、地盤改良とか杭基礎では解決できないケースです。
建物の設計、および基礎の設計において、絶対に不同沈下を起こさせない創意と工夫をして下さい。
最後は小話です。敷地内の盛土と地山の境界を知る方法です。
前日の雨が上がり、天気が回復したならご自身の敷地へ足を運んで下さい。
地面の水が引けてしらじらしい顔をしている所が盛土です。
地山は表面に水分を浮かしてじめじめとした顔をしています。
一目瞭然とは此の事です。
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