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ウォルトディズニーの約束 お金を取るか、自分の想いを大切にするか?

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イギリスの有名な児童文学「メアリーポピンズ」シリーズを映画化を切望するウォルト・ディズニーと原作者であるパメラ・L・トラバースをめぐる映画製作の舞台裏を描いた人間ドラマの映画です。

子供のころ、この「メアリーポピンズ」シリーズも読みましたが、映画に出てくるメリーポピンズとは違い、乳母として登場するメアリーポピンズは、子供達に厳しく、どちらかというと愛想のかけらもない堅物の女性で、違和感を感じたのをおぼえています。

言わずと知れたウォルト・ディズニー(トム・ハンクス)は20年以上前から、メアリーポピンズを映画化したくて原作者のパメラ(エマ・トンプソン)に映画化権の承諾書にサインしてくれるようにラブコールを送っていましたが、パメラは頑としてそれを拒んで来ました。
誰にでも楽しめるような映画となってしまうことで、メアリーポピンズのイメージが大幅に変わってしまうことを嫌がった為です。

ところが、そのパメラも新作を出版していないため、経済的に困窮していたこともあって、ついにアメリカに渡り、映画製作に参加することを条件に、映画化を了承してしまいます。

当初、偏屈な作家として登場するパメラは、細かい街並みや人物のキャラ設定やセリフの一つ一つ、そもそもミュージカル仕立てにすることに、文句ばかり言っていたのですが、次第にスタッフ達と意気投合して行くのでした。

しかし、パメラには何よりどうしても譲れない所があったのです。それは原作に出てくる子供達の銀行家である父親の「ミスターバンクス」と家族達の関係に関する部分でした。


映画の邦題は「ウォルトディズニーの約束」ですが、原題は「SAVING MR. BANKS(ミスターバンクスの救済)」であるように、パメラにとって「メアリーポピンズ」の物語は、家族の、そして何より自分のお父さんの思い出のつまったお話しで、そのお父さんの象徴であるバンクス氏のイメージが壊れてしまう事を嫌がったのです。

幼いパメラとお父さん(コリン・ファレル)の回想シーンが重要なサブストーリーとして描かれます。

お父さんは実際にも銀行家で、幼いパメラの想像の世界にも合わせた会話をしてくれるロマンチストでした。もちろんパメラは、そんなお父さんが大好きでした。

ところが、銀行家としての仕事は「お金」第一主義で、仕事内容は人間味のない合理的なもので、そんな仕事が合わなかったのか、お父さんはお酒に溺れるようになり、やがて身体を壊し、床に伏せってしまいます。

そんなお父さんの看病をしに現れる叔母さん(おそらくお父さんのお姉さん)がメアリーポピンズのモデルになった人物のようです。

しかし、看病も虚しく、亡くなってしまうのでした。

そうしたパメラの心情を知ったディズニーは、パメラに「決してお父さんの思い出を壊す様な映画にはしない」と約束し、実際映画のエンディングでは仕事を失ったバンクス氏が、「お金」よりも「家族達」への愛情に目覚め、家族みんなでそれまで無駄な行為と思っていた「凧揚げ」をして家族達がまとまるシーンを描き、その約束を守ったのでした。

最後、「メリーポピンズ」の完成試写会で、パメラが号泣するシーンが涙を誘います。

パメラにとっては、「銀行」が象徴する「お金」にまつわる合理主義(わかりやすく言えば、儲かるのならば、個人の気持ちなんか考えずに、何やったって良いじゃないか的考え)への抵抗が強いために、人からは偏屈と受け取れるような言動が多くなってしまっていたのです。

ディズニーに対しても、アニメの王様で、儲け第一主義のアメリカ資本主義の権化のような人物で、大勢の人が映画にお金を出して観に来てくれるためなら、万人ウケを狙った映画にするために勝手に原作も変えられてしまうと恐れていたのです。


そんな思い出の自分の原作を、お金の為に売り渡してしまって良いのか?
悪魔に魂を売ってしまって良いのか?
というような決断を迫られてしまうのです。
それがパメラの葛藤の根源でした。


「お金(合理)」を取るか、それとも「お金以外の大切な何か(非合理)」を取るか?

私たちにも日常でもそんなせめぎ合いはあるのではないでしょうか?
究極の選択と言っても過言ではないかも知れません。

映画「39」の項でも書きましたが、人によっては、それは
「例え他人に直接危害を加えるようなことではないにしても、自分の中の正義や道徳のルールに背くような行為」=「悪」
となるでしょう。

私がまず思いだすのは、大学を選ぶ時。

絵を描くのが好きだったので、美術大学を志望したのですが、推薦で法学部にも合格してしまったのです。
「将来、絵描きか、デザイナーになりたい。でも才能があるのかどうかもわからないし、法学部に行っておけば、何かと仕事には困らないのではないか」と少し迷いました。
結局初心に従って美大に進学したのですが、あと後「法学部に進んでいた方が、良かったのではないか?」という想いは、時々頭をかすめました。

さて絵描きを目指すことにしたのですが、どうも自分が描きたい絵のテーマはあるものの、それはとても「人が自分の家に飾りたい」と思う様な綺麗な絵ではないなと思い始めた時、「絵を描き続けたいけど、売れないのでは続けられない。ではもう少し売れそうな綺麗な絵を描くかどうか?」ということでした。
自分が表現したいものが、綺麗な、売れそうな絵であれば幸せだったでしょうが、そうではなかったのです。

今思えば、どんなテーマであるにせよ、本質的に芸術作品としての評価は得られるのでしょうが、当時憧れていた有名な画家さんも、絵を描くだけでは食べて行かれず、教師をしながら食いつないでいるということを聞き、正直「絵を描くのは趣味程度にしておけば良かったのかも」なんて思いました。まぁ覚悟が甘かったのですね。

結局「売れそうな綺麗な絵」を描こうと思ったって、描いてて楽しくもないし、心がこもりません。それでは自分が絵描きになる意味が無いので、自分が描きたいものを描くしかできませんでした。


そして新卒で就職をする時に内定が出た2つの会社を選ぶのに迷いました。
片や「当時すでに人気もあり、将来的にも有望な大きなアパレルの会社。でも自分が好きなファッションのスタイルでは無い」
片や「知名度もなく、将来的に大きくなるかどうかもわからない、小さなアパレル会社。でもそこではどんな仕事にもたずさわれそうだし、なにより好きなデザインの服が多かった」
迷いましたね。占いまでしてもらいましたよ。自分の選択次第でどんな未来が待っているかわからない時、占いに頼りたくなる気持ちがわかります。

結果、小さなアパレルに就職しましたが、2年で退職し、それからしばらくして、会社自体がなくなってしまいました。やはり時々「あっちを選んでいたら、どうだったのだろう?」と思う事もありますよね。


よくミュージシャンのグループが解散する理由として、「音楽の方向性の違いで」と言うのを聞きますが、そうした「売れる音楽か?」それとも「売れなくても自分が表現したい音楽か?」なんてことで、意見が対立してしまう事もあるかもと想像したりします。

その時々で、自分の選択を後悔したり、正解だったと思う事はあるでしょう。
でも、それも少し時間が経って状況が変わると、その評価もまた変わって来るかと思います。
今の私の想いとしては、「あの時美大に行って、小さなアパレル会社に入っていなければ、こうして今カウンセラーとなっていなかっただろうな。だから、あの選択で良かったのだ」ということですかね。


でもまた事情が変化したした時、「カウンセラーになんか、ならない方が良かった」なんて思うかも知れません。

死ぬ時にならないと、自分の選択が正しかったかどうかなんて、わからないものかも知れませんね。


「ウォルトディズニーの約束」では「合理」と「非合理」が上手く仲良く着地点に降り立ち、幸せな結果となりましたが、なかなかこの二つの選択肢は相いれない事柄なものです。

でもなんとか折り合いを見つけていかないと、先には進んでいけない事でもあると思います。

恋愛カウンセラーとしては、「結婚するか?しないか?」なんて葛藤も、そうした延長線上にあったりするものかとも思ったりします。


次回海外ドラマ「スーパーナチュラル」を題材に、そうした究極の選択について、続きを書いてみたいと思います。
「悪魔に魂を売ってまでも、自分の願いを叶えてもらうかどうか?」という究極の選択の物語です。




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