- 金井 高志
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対象:企業法務
- 村田 英幸
- (弁護士)
- 尾上 雅典
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最近、見つけて気になっている言葉に「デジタルタトゥー」(Digital Tattoo)があります。ソーシャルメディアの炎上事件・不祥事について調べていて、出てきた言葉です。
これを直訳すると「電子的な刺青」ということになります。一度刺青をしてしまうと、消すことが難しいものですが、ソーシャルメディアを通じて、インターネット上に一度投稿されたログ(記録)が、刺青のように消すことが難しく、消そうと思っても消せずに、半永久的に残り続けることを示しています。表現として、とても言い得て妙で、見つけて、すぐに記憶された言葉です。
スマートフォンの普及で、いつでもどこでも、軽い気持ちで、その時に感じたことや撮影した画像を投稿することができるようになり、また、拡散スピードが高速化しており、不適切な投稿が拡散されることから、それに対して、他のネットユーザから批判などがなされることが増えています。それが一過性のものであればよいのですが、コピーアンドペーストされ、更に拡散され、また、「まとめサイト」でまとめられるようなことが起こります。そこで、不適切な投稿がインターネット上で半永久的に残ることになります。このような状況を指す言葉が、デジタルタトゥーです。
現在、ソーシャルメディアを実名で利用している人も増えており、不適切な投稿自体が匿名でなされたとしても、問題視されるような不適切投稿の場合、他のネットユーザがその不適切投稿の投稿者を簡単に探し出してしまい、実名がインターネット上で晒されます。ですから、デジタルタトゥーの問題は、不適切な投稿をした人(実名が公表されてしまった人)の一生に関わる問題となるのです。例えば、その人が就職や転職をする場合、最近は、企業の人事担当者が応募者のソーシャルメディアのアカウントを見ることが増えています。そうすると、その人は就職・転職の際に不利になることが生じます。一度、不適切な投稿をして問題とされた場合、その投稿者には、一生に関わる問題が生じることにもなりかねないのです。(このようなことを考えると、現在、EUで議論されている「忘れられる権利」が重要なものとなるようです。)
なお、「デジタルタトゥー」という用語は、2013年2月にカリフォルニア州ロングビーチで行われた「TEDカンファレンス」で言及されたことで広く知られるようになったようです。 (http://diamond.jp/articles/-/39794)
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