新人店長は「自分のためのプライド」で仕事をしてはいけない - 人材育成全般 - 専門家プロファイル

松下 雅憲
株式会社PEOPLE&PLACE(ピープルアンドプレイス) 代表取締役
東京都
店長育成・販売促進ナビゲーター

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対象:人材育成

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新人店長は「自分のためのプライド」で仕事をしてはいけない

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「この店がこんなにたくさんのお客様に愛されるような素敵な店になったのは、皆さんのがんばりのお陰です。本当に、ありがとうございました。」

この店で1年間店長を務めたA店長。この日は、この店での最終勤務を終え、明日からは別の店に異動する最終日。彼は、最後の朝礼で、スタッフにお礼の気持ちを伝えたのでした。彼の言葉の中にあった「お客様に愛される店になった」と言うのは、この店が定期的に行っているお客様満足度アンケートの結果が、満点に近い数値になった感謝の気持ちが込められていました。

彼がこの店に来たのは1年前。この店は、ひと不足が原因でサービス力が低下し、クレームも多発していた問題店でした。彼は、新店をオープンさせて評価も上がり、もうそろそろスーパーバイザーに昇格するかもと噂される評判の店長でした。その頃の彼の口癖は「俺のプライドにかけて!」・・・業績を上げて評価をうなぎ登りに高めていく若手店長らしい、意気揚々とした自分の実績に対するプライドの固まりでした。

しかし、異動してきたこの店は、そんな彼のプライドなど何の役にも立たない酷い状態でした。スタッフ数は不足し、残っているスタッフも疲れ果て、売上も低下・・・お客様満足度調査では、チェーン店の中でも最低クラスの得点を記録していました。店長には、スタッフ達にはこの状態を改善していこうという気概のカケラすら感じられなかったのです。

「俺がこんなにやっているのに何であいつらは頑張らないんだ!どいつもこいつも、やる気が感じられない!」そうぼやく日が続いたある日、様子を見に来た部長が彼にアドバイスをしました。「君は自分のプライドをかけて頑張っていると言うが、そんなのスタッフには関係ないよね。こんな状況でも店に残っているスタッフにもプライドがあるんだよ。その気持ちを理解する事が出来なかったら、いつまで経ってもこの店は君のチームにはならないだろうな。君に必要なのは、君自身のためのプライドじゃあない。スタッフのプライドを理解する事と、そんなスタッフを誇りに思えるプライドなんだ。」

「君のためのプライドは必要ない。スタッフを誇りに思うプライドが必要なんだ。」
部長から言われたその言葉は彼の中にあった新しいプライドに火を付けることになりました。彼はもう一度スタッフをよく見ることにしました。そこには、少ない人数の中で必死に頑張っている、人数が少ないが為にお待たせしてしまっているお客様に、必死で謝っている・・・・そんなスタッフ達の姿がありました。彼らはやる気が無いんじゃあ無く、厳しい状況の中で必死に頑張っている・・・ようやく彼はその事実に気がついたのです。

そんなスタッフ達の必死さで目を覚ました店長は、その日から新しいスタッフの採用に全力を注ぎ、3ヶ月をかけてひと不足を解消。そして、スタッフを認め、ほめ、評価し、その成長や貢献を実感させ、彼らのスキルと彼らの中にあるプライドを育てていくように努力を続けました。

1年後。スタッフ数は3倍に増え、笑顔も増え、さらにお客様と会話を楽しめるレベルにまで成長しました。お客様の中には、そのスタッフ目当てに毎日来店される方も出てきました。もちろん、長く待たせることもなくなったことでチャンスロスも減り、売上は右肩上がり。彼が着任してちょうど1年経った月は、オープン以来の過去最高売上を記録。なんと、1年前の2倍を売り上げる状態になったのです。そして、ついにお客様満足度調査の評価で、ほぼ満点の得点を獲得したのでした。

「私は、自分ひとりでしゃかりきになって、スタッフの気持ちもスタッフの力も信用していませんでした。だから上手くいかなかったんです。しかし、彼らにも私と同じようにプライドがある。店に対する想いもあるし、環境を整えればどこの店にも負けない力を持っているんですよね。私は、彼らのプライドを思う存分に発揮出るようにすれば良いだけなんです。今の私のプライドは、ひとりで頑張ってきた自分のプライドではなく、素晴らしいスタッフに巡り会えたこと、彼らのようなスタッフと一緒に仕事が出来ていることが一番の誇り、プライドです!」

彼は、その後、異動した次の店でも成果を上げ、今では優秀な若手スーパーバイザーとしてこのチェーン店で活躍しています。自分のための自己満足のプライド、部下を誇りに思うプライド、この部下達のリーダーであるというプライド。プライドにも色々ありますよね。

さて、あなたが持っているプライドは、どんなプライドですか?

 

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