政府は、若い人への資産移転を狙って、高齢者から子どもや孫への贈与税を軽減する政策を実施しました。これまで手付かずだった高齢者の資産に対し、このような仕組みを作ることで、多くの人に関心をもってもらうことはよいことです。資金を溜め込んだまま認知症になっては悲劇です。
ところで、第一生命経済研究所の試算では、高齢者による消費の総額は100兆円にも上るといいます。この金額は、日本の個人消費全体の4割強にあたるそうです。逆に若い人の消費額は年々減少しています。98年からの名目雇用報酬は、減り続けてマイナス12%にも達しています。
一方、デフレ経済が続きましたから、資産を持っている高齢者は、消費支出が少なくて済むため資産が減らなくて困っています。若い世代のように、結婚や住宅購入、子育て、教育など、お金を使うイベントがありません。病気の治療費か、旅行、趣味に使う程度です。
ここでも何度か指摘していますが、日本全体にイベントが不足しています。高齢者向けイベントは、本当に数えるしかありません。しかも、従来の高齢者と違って70代、80代になっても、皆さん元気です。フィットネスやウォーキングに行きますと、この元気な高齢者がたくさんいます。
卵が先か、鶏が先かと同じことですが、イベントが増えることで元気な高齢者が増えます。高齢者が増えることで、楽しみとなるイベントも増えるはずです。今は、このイベントが不足していることが、高齢者には不幸な時代と言えます。地域のニーズにあった、イベントに起業チャンスがあります。
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