昨年6月自社でノウハウを確立し開業したFさんが、12月いっぱいで閉店しました。カーブスの30分フィットネスとは違って、日本人の体力にあった、高齢者向けのフィットネスを開発しての開業でした。スペースも自社で所有している建物を利用して、あまり無理のない店舗運営で注目されるビジネスでした。
わたしが気になっていたのは、利用者さんの滞在時間を制限して、店舗の中にはあまり利用者を入れない仕組みをとっていた点。経営者が、お年寄りの集まることに対し、無駄な場所を提供することを無駄と思っていた節があります。他に多くのビジネスをしている関係で非効率な点は全て排除しようとしました。
そんな背景もあってか、会員数は100人程度しか集まらず、目標とした300人を大きく割り込んでいました。採用した女性スタッフも、会員が増えないことでモチベーションが下がり、結局スタッフ全員が退職を決めたことで、閉店に追い込まれるカタチになりました。
経営者の見込み違いがいくつもあります。地方都市のため、仕事を探す女性は多いと考え、スタッフの心配をしていませんでしたが、現在は求職者より求人を探す会社のほうが多いこと。高齢化が進む地方都市で、利用者はいくらでも集まると見込んでいましたが、年金生活者は意外に財布を開けないこと。
そして何より、利用者の希望が健康だけでなく、健康を口実に人と会話を楽しむために集まることもあります。考え方を変えますと、身体の健康ばかりでなく、心の健康も求めているようです。以前の効率化最優先の経営方法が、今お客さんからそっぽを向かれています。起業においても、成功例より失敗例の方が役立つ時代です。
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