「だから、こう言う時はこういう風にやってと言ったでしょ!私の言うとおりにやってちょうだい!」
ある店長が、なかなか自分の言うとおりにしてくれないスタッフを叱っています。でも、このスタッフの顔は、店長の言うとおりに出来ないというしょげた顔ではなく、店長の言っていることが納得出来ないという不満げな顔なのでした。
店で行うオペレーションには、「基準」があります。会社で決めたマニュアル、一般的な常識、そして店長の経験や知識によるものなどなど、色んな「基準」があります。店長は、自分が正しいと考え、その上司もまた自分が正しいと考え、幹部や経営者も自分が正しいと考えます。そして、自分の部下が自分とは違う方法を採っていたら、「間違い」を指摘し修正させようとします。よくある光景です。
もちろん、衛生や安全に対する基準やルールは、ひとによってバラバラではいけません。お客様やスタッフに安心安全を提供するものの基準がバラバラではそれは正しく提供できません。でも、私が言っているのはそのお話ではありません。
「ああ、この店に来て良かった。楽しかったね。また来たいね。」と思っていただけるための基準は、お客様によってそれぞれ違います。なので、提供する側のスタッフによっても対応する判断や行動は違ってきます。目の前のお客様が今何を求めていて、どうすれば喜んで頂けるのか?と言う判断は、10人が10人とも違う可能性が高いのです。
でも、上司という立場は、これを自分の枠にはめ込みたがります。枠からはずれることを嫌います。それが自分の方法よりもお客様にとって嬉しいことであっても認めようとしないことがあるのです。
店長の言い分はこうです。「このバイトは、まだ基本をわかっていません。基本も出来ていないのに自分流でされたらマニュアルの意味が無いんです。それに、ミステリーショッパー(覆面調査員)になんて書かれるかわかりませんからね。」
会社には「戦略」として実施していく施策があります。ミステリーショッパーには、それの実施状況の確認を依頼することもあります。しかし、それは、お客様のために積極的に行動するスタッフの主体性を阻害するものであってはいけません。また、店長の言うとおりにすることが、店長の自尊心を満足させることのために存在するのならば、それも意味がありません。
店長は、まずスタッフがどうしたいのか?を聴く様にしましょう。スタッフはロボットではありません。感性のある人間です。自分ならばどうされれば嬉しいか、お客様はどうされたがっているかを考えることが出来ます。
次に、スタッフの考えを行ったときに、別のリスク、例えば安全や衛生上の問題について検討します。
みっつ目は、それを実際にやってみることです。大きな問題が無いのならばやってみる価値は、やってみることで体験できるからです。
で、最後に、やってみた上でどうだったのか?を一緒に考えるのです。
考えのあるスタッフに対して、店長のポジションやマニュアルなどで考えを押しつけても決して成長はしません。店長の仕事は、スタッフのやる気と能力を彼らの中から引き出すことです。
マクドナルドのあの何万項目というマニュアルも、実は現場の意見を集めて出来上がっていったものなのです。決して経営者の個人的な意見の集大成ではありません。
正解はひとつとは限りません。
全てのお客様を満足させる方法はマニュアルには書いてはいません。
この原則を理解してこそ、スタッフのやる気を引きだし、お客様の満足を高めていくことができるのです。
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