国民年金の損得と掛金未払いのリスク - 資産運用・管理 - 専門家プロファイル

釜口 博
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閲覧数順 2025年05月23日更新

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国民年金の損得と掛金未払いのリスク

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知らないと損するかも…のお話し
国民年金が得なのか?損なのか?
この議論自体が不毛かもしれません。
なぜならば、絶対的に得だからです。
 
正確に言うと、現状老齢年金を受給されている人は、信じられないくらいお得です。


なぜ、信じられないくらいお得かというと、現在70歳以上の方が平均寿命まで生存された場合、掛金総額の約8倍の年金給付を受ける計算になります。
※掛金総額は現在価値に割り戻した掛金として試算しています。 
 
また、まだ老齢年金の受給者でない若い方も、全体的にみればお得です。
 
例えば、S60年生まれで現在23歳の方でも、平均寿命まで生存された場合、掛金総額の2.3倍の老齢給付が受けられる計算です。
※厚生年金の掛金を支払っている第二号被保険者の場合として試算しています。

ではなぜお得な制度なのかを検証していきたいと思います。

国民年金の掛金は、2017年に月額16,900円になって、以後原則固定ですから、この掛金を元に考えます。
40年間全期間払い込めば、総支払は8,112,000円。
これに対してもらえる金額は、年間792,100円(月額約6.6万円)

老齢基礎年金(国民年金の保険料を支払うことによってもらえる老齢年金のこと)は65歳から支給ですので、76歳まで生きて11年間年金をもらうと、総額は8,713,100円となり元が取れます。
※この計算は金利情勢などは考慮していませんので、ざっと全体を見渡すための計算だと思って下さい。

株式運用や投資信託で資産を増やしている方などにとっては、65歳からもらえる老齢年金だけを考えると、金融商品としてのメリットはないという判断になるかもしれませんが、、、
 
国民年金には、老齢年金以外に
1、遺族年金(寡婦年金含む)
2、障害年金
という2つの重要な年金制度があります。

1、掛金を支払った人が死亡した場合、その人の収入によって生計維持されていた年収850万円以下で18歳までの子供がいる妻か、18歳までの子供が受給できる年金

受給額は子供2人で、年額1,247,900円

寡婦年金とは、掛金を25年以上支払った人が死亡した場合、その人の収入で生計維持されていた65歳未満の妻が受給
※ただし婚姻期間が10年以上(事実婚含む)

受給額は「夫が受取るはずだった老齢基礎年金」の3/4を、妻の年齢で60歳〜65歳まで。

2、掛金を支払った人が1級か2級の障害者に該当した場合に受給できる年金

受給額は、
1級障害者 年額990,100円
2級障害者 年額792,100円
その人に子供がいる場合は、一人に対して227,900円が支給

老齢年金だけで判断すると、現在掛金を払っている若い方にすれば、あまり得でない と判断される方もいらっしゃるかもしれませんが、他の年金商品にはない「遺族年金」 「障害年金」という給付までついていることを考えれば、とてもお得な金融商品です。

社会保険庁は、この国民年金のお得度をもっとPRすべきです!

そうしなければ、国民にとっても、国にとってもなにもよいことはありません。

国民にとっては、死亡した時の遺族保障、障害を負った時の障害保障が確保できません。

では国や地方自治体にとってはどうか?

無年金のお年寄りは「生活保護」を受けざるをえなくなります。

現状の生活保護者に対して、自治体は月7〜8万円を支給しています。

この額は、国民年金を満額払った場合に給付される月々6.6万円よりも多いのです。

無年金のお年寄りばかりになれば、地方自体はひとたまりもありません。

 
国民年金を支払うことが困難であるという方は、免除申請をして下さい。
免除方法は、「全額免除」「3/4免除」「半額免除」「1/4免除」までありますので、国民年金のメリットを考えれば、とりあえず免除申請をするというのが鉄則です。